Album Review: ポスト・クラシカル界を代表するファブリツィオ・パテルリーニによる至福のライヴ盤『Live In Bratislava』 〈Billboard JAPAN〉|AERA dot. (アエラドット)

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Album Review: ポスト・クラシカル界を代表するファブリツィオ・パテルリーニによる至福のライヴ盤『Live In Bratislava』

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Album Review: ポスト・クラシカル界を代表するファブリツィオ・パテルリーニによる至福のライヴ盤『Live In Bratislava』

Album Review: ポスト・クラシカル界を代表するファブリツィオ・パテルリーニによる至福のライヴ盤『Live In Bratislava』

 ヨーロッパの町で、美しいピアノ演奏を聴く。そんな幸せな空間を疑似体験できるのが本作。イタリア出身のピアニスト、ファブリツィオ・パテルリーニが、スロヴァキアのブラチスラヴァで行ったコンサートを収録したライヴ・アルバムだ。


 ファブリツィオは、いわゆるポスト・クラシカルなどといわれているシーンの中心に立つミュージシャンのひとり。ニルス・フラームやオーラヴル・アルナルズなど比較されるピアニストや作曲家は何人かいるが、誰よりもリリカルでロマンティシズムに溢れた楽曲と演奏が特徴だ。もともとジャズやロックなどをプレイしていた彼は、90年代末からピアノ・ソロで作曲を始め、2007年にデビューを果たした。以来、コンスタントにアルバムをリリースするだけでなく、SoundcloudなどのSNSでも精力的に作品を発表し続けている。


 本作はライヴ盤とはいえ、スタジオ作品同様に凛とした空気とともに演奏が披露されていく。ピアノ・ソロはもちろんだが、プログラミングを加えた「On Way」のようなアンビエント風の楽曲や、ストリングスを迎えてよりクラシカルに響く「Week」という連作もある。また、シンセサイザーのみで大胆に構成された「On The Sky, The Planets And Everything Above Us」といった大作もあり、サウンド的には振り幅も大きい。しかし、どんな編成であろうと、イタリア人特有のメロディアスな感覚と、メランコリックな情感に包み込まれた世界観は不変だ。そして、ライヴ・レコーディングならではの緊張感が入り混じり、ビターとスウィートの狭間で感情を刺激してくれるのだ。


 ファブリツィオの音楽には、聴く者を異世界に連れて行く力があるが、時折聞こえる聴衆の拍手で現実に引き戻される。このライヴ作品は、その行き来が不思議と心地いい。ラストの「There's A Light We Might See」が終わる頃には、きっと同じ空間で演奏を体感していたように感じることだろう。


Text: 栗本 斉


◎リリース情報
『Live In Bratislava』
ファブリツィオ・パテルリーニ
2015/12/06 RELEASE
2,592円(tax incl.)


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