Album Review: オンリーワンの存在だからこそ、この季節にはどうしても聴きたくなる…アイルランドの歌姫エンヤの7年ぶりの新作『ダーク・スカイ・アイランド』
Album Review: オンリーワンの存在だからこそ、この季節にはどうしても聴きたくなる…アイルランドの歌姫エンヤの7年ぶりの新作『ダーク・スカイ・アイランド』

 肌寒い季節の訪れと共に、エンヤの声が聴きたくなる。透き通った冬の星空に映える、独特で神秘的なサウンドと、透明なヴォーカルワーク。風の冷たさや、突き抜ける真冬の晴天を、聴覚で体感させてくれるのは、ミュージックシーンにおいて、エンヤのほか思い当たらない。オンリーワンの存在だからこそ、この季節にはどうしてもエンヤが聴きたくなるのだ。

 本作、『ダーク・スカイ・アイランド』は、2008年リリースの7thアルバム『雪と氷の旋律』以来、7年ぶりとなる8枚目のオリジナル・アルバム。これまで間があいたとはいえ、7年という月日が経過したのは、本作がはじめてだ。自動車の利用は禁じられ、飛行機では降りられず、船によってのみ渡航可能となっている、サーク島からインスピレーションを受けたという本作。“世界一美しい星空を眺めることが出来る島”とうたわれているこの島の夜空を、そのまま音にしたような内容に仕上がっている。

 先行シングルとしてリリースされた「エコーズ・イン・レイン」は、美しい景色も流れてゆくように、人生もまた、新しい一日がくる…と、エンヤが諭すように優しく歌いかけてくれるナンバーだ。続く「アイ・クッド・ネヴァー・セイ・グッバイ」や「サンクタ・マリア」など、教会音楽に通ずるトラックも散りばめられていて、これから迎えるホリデー・シーズンにもピッタリ、この冬の大本命となることは間違いないだろう。

 制作は、エンヤとプロデューサーのニッキー・ライアン。リリックは、ニッキーの妻であるローマ・ライアンが手掛けていて、これまでのトリオ・プロデュース形態は変わらず、エンヤデビューの方も、往年のファンも、すんなり受け入れられるアルバムに仕上がっている。さらに成熟したエンヤの世界観…大自然の深さや宇宙の広がりをも感じさせてくれるだろう。11月20日世界同時リリースとなった『ダーク・スカイ・アイランド』のデラックス盤には、全11曲に加えて3曲が追加されている。

Text: 本家 一成

◎リリース情報
『ダーク・スカイ・アイランド』
エンヤ
2015/11/20 RELEASE
2,654円(tax incl.)