歴史的記録を打ち出し、アデルの新曲「ハロー」がNo.1デビューを果たした、今週の米ビルボード・シングル・チャート
歴史的記録を打ち出し、アデルの新曲「ハロー」がNo.1デビューを果たした、今週の米ビルボード・シングル・チャート

 アメリカだけで1100万枚、ワールドセールスが3000万枚を突破したアルバム『21』から、約5年ぶりとなる新作『25』を11月20日に発売する、アデル。そのアルバムからの先行シングルとしてリリースされた「ハロー」が、10月23日の発売から、たった1週でデジタルセールスが100万枚を突破、ビデオの視聴回数が、6000万回を記録するすさまじいヒットを打ち出し、今週No,1デビューを果たした。

 カナダの山林でエモーショナルに歌う映像と、“償い”がテーマの歌詞の世界観が全世界で絶賛されていて、11月初週現在では、すでに2億回の再生回数を記録している。デジタルセールスも伸び続け、20日のアルバムリリースまでは、エアプレイもパワープッシュされるだろう。11月いっぱい、もしくは今年の残りのシングルチャートを制覇することも可能性としては十分に考えられ、自身最大のヒット曲「ローリング・イン・ザ・ディープ」(2010年)のセールスも上回るかもしれない。

 アデルは、これでアメリカでは4曲目となる首位獲得、UKやオーストラリア、ニュージーランドなど、主要国でもすべてNo,1デビューを果たしている。アルバム『25』も2作連続の首位獲得は間違いなく、初週で120万枚を突破した、テイラー・スウィフトの『1989』の初動枚数を軽く上回るのではないかと、メディアは予想している。惜しいのは、11月で集計が終了する年間チャートのポイントが、2016年度の集計と分散してしまうため、今週の記録的なポイント数が、来年の年間チャートに反映しないということ。12月からNo,1デビューを果たしていれば、来年の年間チャート首位も確実だったかもしれない。

 アデルの圧倒的な強さに押され、残念ながら2位デビューとなったのが、ジャスティン・ビーバーの「ソーリー」。アデルのアルバム『25』の1週間前にリリースされる、4thアルバム『パーパス』からの2ndシングルで、1stシングル「ホワット・ドゥ・ユー・ミーン?」(今週5位)に続き、2曲連続のTOP3入り、通算8曲目のTOP10入りを果たした。自身が出演していない、女性ダンサーだけのダンスビデオが先行でリリースされ、すでに6000万視聴回数を突破したが、アデルのすさまじい記録には届かなかった。しかし、アルバムリリース直前の大きなプロモーションにはつながり、4作連続のアルバム首位獲得も期待できそうだ。

その、ジャスティンの対抗馬となる、ワン・ダイレクションの新作『メイド・イン・ザ・A.M.』からも、100位内に3曲がランクインしている。先週10位に初登場した「パーフェクト」は29位にダウンしてしまったが、アルバムからの1stシングル「ドラッグ・ミー・ダウン」は再び24位に息を吹き返している。次週は両者のアルバムプロモーションが本格始動することもあり、アルバムからのタイトルが続々とランクインを果たすのではないかと、予想される。現時点では、予約数でワン・ダイレクションが優勢とのことだが、13日のリリースまで、ジャスティン・ビーバーが一気に巻き返すかもしれない。

 次週は、10月30日にリリースされた、アリアナ・グランデの新曲「フォーカス」が上位にランクインすることが予想される。シングルチャート初のNo,1獲得が期待されていたが、アデルの圧倒的な強さにはおそらく及ばず、首位獲得は難しい状況にある。Text: 本家 一成