アルカ、『ゼン』より“大胆”な2ndアルバム『ミュータント』を11月にリリース
アルカ、『ゼン』より“大胆”な2ndアルバム『ミュータント』を11月にリリース

 2014年のデビュー・アルバム『ゼン』より1年、アルカ(Arca)が早くも2ndアルバムをリリースすることが明らかになった。

 新作のタイトルは『ミュータント』(=突然変異)。デビュー作となった『ゼン』が内省的な作品だったのに対して、『ミュータント』は外部に発せられる大胆な作品に仕上がっているとのこと。アートワークは、今回もアルカの長年のヴィジュアル・コラボレーターであるジェシー・カンダが担当。アルカは先日、そのジェシー・カンダのミドルネームである「Soichiro」と題した新曲も公開している。

 また、今回の発表に合わせて新曲「En」のMVもYoutubeで公開。以下に英文プレスリリースの対訳も掲載する。

◎プレスリリース対訳

 2014年にリリースされた前作の『ゼン』が内省的なものだったのに対し、『ミュータント』は外部に発せられる大胆な作品となっている。彼の人生にとって大切な人物たちに彩られ、そして捧げられたものであり、この『ミュータント』は愛するもの:友人や家族、知人等から受けてきた影響によって絶え間無く繰り返される変異(mutation)が描かれている。アルカは彼らに向けて姿形を変えるが、それは彼ら自身の影響によるものだ。前作と今作ともに変幻自在に形を変える人格(設定)であるが、『ゼン』が彼女(her=彼女。アルカはゼンの事をそう呼ぶ)の世界の中に私たちを誘う(いざなう)ものだったのに対し、『ミュータント』は外の世界にいる私たちに会うために自ら出てきた作品と言える。このアルバムは、清々しい優しさを伴った様々な種類の官能性を讃えながら、無償の愛を示唆するものである。ジェシー・カンダによるオーガニックなジャケットも、『ゼン』では覆い隠された部分が光り輝いており、それも上記のことを反映しての事である。

 アルカ自身の言葉を借りると「『ミュータント』は”官能”や”衝動”に関する作品で、いわゆる”厳格さ”からは一切離れたもの。優しさというのは凶器と一緒で、時にはそれが自らの心を傷つけることがある。」この作品の中に登場するMutation(突然変異)の数々の感覚は、”アイデンティティを自在に変容できる柔軟性”と言える:開放的でそのトランスフォーメーションを内包すること、それらと調和している感じなのである。プライドというものは不格好で世間知らず、歪んでいて傷つきやすい:特徴としてしばしば不快で嫌われることがある。

 アルカの作品に躍動感をもたらしているテーマ – 緊張感、両極性、遊び心、エロティシズムそれに自己変容能力 – それらはさらに新しく、もっと微妙な陰影をつけた方向へ光を当てて来ている。親密さと混沌、それらの間を絶え間なく動く様が楽しめる。

 タイトルトラックは擦り傷から悟りまで、といったずいぶんと離れたものの間を埋めるような楽曲で、獰猛な攻撃から湯気のような捉えられないものまで姿形を変えていくのだが、その感じが予測不能極まりない。その作品のビデオは、アルカ自身が即興で行ったダンスを一発撮りしたものとなっている。添付の自撮りアーティスト写真も以前のものと比べ生々しい。「Anger」は祝祭的でカーニヴァルライクなものとなっているが、「Faggot」のラストは、『ゼン』の表題曲のリズムを彷彿とさせるものとなっている。「Umbilical」のサウンドは、”誕生”を暗示するようなタイトルと相まって、シンプルなデジタル音が響き渡る。「Enveloped」は圧倒的で要注意な作品であるが、抑制を和らげるもので、サウンドは開放的な感覚もあり、曲の後半で一定のリズムからエフェクトの効いたストリングスを伴ったものになっている。「Vanity」、 「Snakes」それに 「Soichiro」はパーソナルで親しみの持てる亜熱帯的サウンドである。唯一、このアルバムを通して一貫している事は、聴くものが座っていられなくなる、という事だ。曲が始まると蕾が次々と開き、沢山の深紅や鮮やかな青の花びらが咲く。アルバムという大地にはデイープなベースが深く根を張り巡らし、それぞれの生命体と繋がっている。

 『ミュータント』を正確に捉え切るのは難しい:視点を合わせるまでもなく、一瞬で視界の端から消えて無くなるもののようだ。

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◎「EN」MV
http://bit.ly/1OwVG6v

◎リリース情報
『ミュータント』
2015/11/18 RELEASE(海外:11/20 RELEASE)
TRCP-190 2,100 円(tax out.)
※ボーナス・トラック1 曲収録 、解説:佐々木渉(クリプトン)

<トラックリスト>
01. Alive
02. Mutant
03. Vanity
04. Sinner
05. Anger
06. Sever
07. Beacon
08. Snakes
09. Else
10. Umbilical
11. Hymn
12. Front Load
13. Gratitud
14. En
15. Siren Interlude
16. Extent
17. Enveloped
18. Faggot
19. Soichiro
20. Peonies
21. Ashland (ボーナス・トラック)