坂本龍一×山田洋次『母と暮せば』、レコーディング風景解禁
坂本龍一×山田洋次『母と暮せば』、レコーディング風景解禁

 坂本龍一の復帰第一作となる映画『母と暮らせば』のレコーディングが、9月14日に東京オペラシティ コンサートホールにて行われ、その様子が公開された。

 会場には山田洋次監督も訪れており、「この映画の音楽はどうしても坂本龍一さんにお願いしたかった」「長崎、広島の原爆の犠牲者を含めて戦争の犠牲者への鎮魂の思いをこめて、そんな気持ちでどうぞみなさん演奏なさってください。」など、東京フィルハーモニー交響楽団に向けて作品や音楽への熱い想いを語った。坂本も「今の日本で山田洋次さんと吉永小百合さんに何かをお願いされて断る勇気のある人はいないでしょう(笑)。光栄です」と挨拶すると、温かい笑いに包まれた。演奏後には東フィルのメンバーも「坂本さんの復帰第一弾のお仕事にご一緒できて、感無量でした。いつもより思いの籠った演奏ができたと思う」と感想を述べた。

 本作は、作家・井上ひさしが広島を舞台に描いた『父と暮せば』と対になる作品を長崎を舞台につくりたいと発言していたことを知った山田監督が、終戦から70年を迎え、井上の想いに捧げるために作った優しく泣けるファンタジー。母・伸子役は吉永小百合、息子の浩二役は二宮和也、浩二の恋人・町子役は黒木華が務める。

◎レコーディング冒頭のオーケストラへの挨拶 
山田監督:映画監督の山田です。皆さんどうぞ宜しくお願いします。この映画は『母と暮せば』というタイトルです。井上ひさしさんの「父と暮せば」という大変有名な戯曲を皆さんご存知だと思いますが、あれは広島の原爆でお父さんが死んで残された娘と亡霊になったお父さんとの会話という、面白くて不思議な、そして非常に深いドラマでしたけれども、その井上さんの原案をいただいて、『母と暮せば』を撮影をしたわけです。今度は、お母さんが長崎の原爆で生き残って、息子は原爆で死んでしまい、亡霊になってお母さんのところに現れるという物語です。もう撮影は終わりましたが、この映画の音楽はどうしても坂本龍一さんにお願いしたかった。吉永小百合さんと相談して、坂本さんにお願いして、こうして今日この日を迎えられたわけです。長崎、広島の原爆の犠牲者を含めて戦争の犠牲者への鎮魂の思いをこめて、そんな気持ちでどうぞみなさん演奏なさってください。どうぞよろしくお願いいたします。

坂本龍一:よろしくお願いします。長い一日になると思います。みなさんと一緒にやるのは1年と4か月ぶりです。さっきお話された山田監督と吉永小百合さんがお見えになって、この音楽を頼まれたのがちょうどツアー中でした。今の日本で、山田洋次さんと吉永小百合さんに何かを頼まれて断れる勇気のある人はいないと思います(笑)。もちろん断るつもりはなかったですけど。ご一緒できて光栄です。

◎公開情報『母と暮らせば』
12月12日(土)全国ロードショー
吉永小百合 二宮和也
黒木華 浅野忠信 加藤健一
広岡由里子 本田望結 小林稔侍 辻萬長 橋爪功
監督 / 山田洋次 
制作・配給 / 松竹株式会社 
(C)2015「母と暮せば」製作委員会