大貫妙子1年ぶりのビルボードライブ公演で、「いつも通り」ではないライブを披露
大貫妙子1年ぶりのビルボードライブ公演で、「いつも通り」ではないライブを披露

「ご用意はいいかしら」と静かな掛け声で始まったライブは、目の前が色づいていくような、秋の始まりを告げるにぴったりなステージだった。昨年デビュー40周年の節目に行われた、一夜限りのアニバーサリー・コンサート【大貫妙子40th ANNIVERSARY LIVE】と同じ豪華バンドメンバーを揃えた【Billboard Live Tour 2015】が9月16日、ビルボードライブ東京にて行われた。

 「お客様との距離が近いからこそお互いに楽しめる」選曲にこだわったという今回のライブは前述のアニバーサリー・コンサートでも演奏されたキャラメル・ママバージョンの「色彩都市」で幕を開けた。客席とステージの距離が近いためMCでは思わず「あまりじーっと見ないで…」と照れた表情を見せつつも、普段あまりライブで見ることのできない曲を披露し、艶っぽく透明感あふれる歌声で観客をみるみる彼女の世界に引き込んでいく。

 バンド・メンバーは鈴木正人(ベース)、小倉博和 (ギター)、フェビアン・レザ・パネ(ピアノ)、 森俊之 (エレクトリックピアノ、オルガン、シンセサイザー)、林立夫(ドラム)、沼澤尚(ドラム)が勢揃い。多彩で包容力あるバンド演奏は、大貫妙子の繊細かつ芯の通った歌の存在感を絶妙に引きだし、深みを増した心地よい音色で会場を包み込んでいく。大貫妙子が「佳境にふさわしい曲です」と紹介した「BERIMBAU DO BEM」では、目の前で繰り出される林と沼澤のツインドラムによる迫力のあるコンビネーションで観客を圧倒した。

 大きな拍手で迎えられたアンコールでは、シュガー・ベイブのアルバム『SONGS』の40周年記念盤の話題に触れ、同アルバムから楽曲を披露。これには会場も喜びの声を上げ、思わぬサプライズとなった名曲にじっと耳を傾けていた。心くすぐるポイントをいくつも散りばめた親密なパフォーマンスで、柔らかな高揚感と充実感に満たされた70分だった。

 【大貫妙子 Billboard Live Tour 2015】は、23日にビルボードライブ大阪、そして29日に再びビルボードライブ東京で行われる。肌寒くなってくるこの季節。彼女の温かい歌声に是非触れてほしい。

Text: 神人未稀
Photo: Yuma Totsuka

◎公演情報
大貫妙子 Billboard Live Tour 2015

ビルボードライブ東京
2015年9月16日(水)&29日(火)
1stステージ 開場17:30 開演19:00
2ndステージ 開場20:45 開演21:30

ビルボードライブ大阪
2015年9月23日(水)
1stステージ 開場15:30 開演16:30
2ndステージ 開場18:30 開演19:30

Info: Billboard Live