向井秀徳アコースティック&エレクトリック、半年ぶりのビルボードライブで歌と言葉を中心に据えたライブを披露
向井秀徳アコースティック&エレクトリック、半年ぶりのビルボードライブで歌と言葉を中心に据えたライブを披露

 ZAZEN BOYSとしてビルボードライブ東京に登場してから半年。8月26日、MATSURI SESSIONが再びビルボードライブ東京に登場した。今回は向井秀徳アコースティック&エレクトリックによる弾き語りである。吉田一郎不可触世界(アンタッチャブルワールド)とともに行われた1stステージのライブの様子をレポートする。

向井秀徳 ビルボードライブ写真一覧

 まず登場したのは、5月に初のソロアルバム『あぱんだ』を発表した吉田一郎不可触世界。今回がソロ・プロジェクトとしての初披露ライブとなった。音源制作においてはほとんどの楽器を自身で演奏して吉田だが、ライブではシーケンサーを操作しながら歌い、ラップする。ずんと深く沈み込むようなベースにパキパキとしたビートが心地よく乗る「法螺」など全4曲を披露。

 その後登場した向井秀徳は、ステージの少し左側にセットされた2本のギターの脇のイスに座る。アコースティックギターを抱えて始まったのは、Number Girl時代の代表曲「Young Girl 17 Sexually Knowing」。バンドでは荒々しいボーカルをとることも多い向井だが、単音で緩やかに爪弾かれるギターの音色に合わせてしっとりと歌い上げる。感傷的なメロディーが会場にふわっと広がっていく。続いて演奏されるのは「6本の狂ったハガネの振動」。言葉数が多いZAZEN BOYSの曲がシンプルな弾き語りの構成に落とし込まれて、歌が持っていたイメージがよりくっきりと浮かび上がる。

 エレキギターに持ち替えると、ライブは更に熱を帯びていく。その場の演奏を録音、ループさせて、更にギターを重ねていくことで厚みのある音を作り出す。「SAKANA」ではごうごうとフィードバックしたノイズをアクセントにメリハリの付いた展開で観客を引き込む。向井の歌も荒々しさを増していく。

 ハイライトはZAZEN BOYS、またソロでもよく演奏される「自問自答」。さながら念仏のように言葉を畳み掛ける本曲。中盤にさしかかり、アコースティックギターのキメが減り、音数が少なくなっていく。それに呼応して、音楽の中で言葉が占める量がぐんぐん増大する。観客の頭を向井の言葉で埋め尽くしてしまおうとしているかのようなパフォーマンスに固唾をのんだ。

 大歓声のまま、アンコールで再登場した向井は、エレキギターが緩やかにエコーする「KIMOCHI」を披露。その場の演奏をループさせたあとは、ギターを置き、立って歌う。観客にサビを合唱させ、その歌声の中、再び向井は退場していった。

 向井秀徳の曲が持つ様々なイメージや風景。歌と言葉を中心に据えることで、それらをバンドとは異なるアングルからくっきりと提示するライブとなった。(TEXT:小林ヨウ)

◎公演情報
2015年8月26日 ビルボードライブ東京
1stステージ 向井秀徳アコースティック&エレクトリック/吉田一郎不可触世界)
2ndステージ 向井秀徳アコースティック&エレクトリック/KIMONOS(向井秀徳&LEO今井)