イギリスでは今後、露骨な性的、暴力的、不適切表現を含むミュージックビデオがネット上で配信される際には、年齢指定の注意勧告が行われるようになると同国政府が発表した。

 昨年10月にはソニー・ミュージック、ユニバーサル・ミュージック、ワーナー・ミュージックの各UK部門がデジタルプラットフォームのVevoやYouTubeと組み、子供には適さないとみなされたミュージックビデオに明確な年齢指定表示をすることを試験導入していた。

 大手3社が英国映画倫理委員会(BBFC)に提出した大人向けのビデオがそれぞれ、“12”(12歳以上に適切な作品)、“15”(15歳以上に適切)、“18”(18歳以上、大人向け)に分類わけされることに合意したため、このプログラムが恒久的になったわけだ。これまで、年齢指定はYouTubeとVevoの2つのプラットフォームと、大手3社のUK作品にしか適用していなかったが、今後は国内インディペンデント・レーベルにまで及ぶようになる。

 BBFCが分類わけを考えているミュージックビデオは、薬物乱用、安全かのように描かれる危険行為、下品な言葉、性行動やヌード、脅迫的行為や暴力が含まれるものだ。

 文化・メディア・スポーツ省は、年齢指定を導入して10か月余りの間に132本のミュージックビデオが国内のレーベルからBBFCに申請され、56本が“12指定”に、53本が“15指定”にされたとしている。“18指定”にされたのは、ディジー・ラスカルの「Couple of Stacks」1本のみで、BBFCは同ビデオを“強烈な血なまぐさい暴力、残酷で非常に乱暴な言葉”と表している。

 また、“時おり乱暴な言葉が登場する”とされたチャーリー・XCXの「Breaking Up」などが“12指定”とされ、カルヴィン・ハリスの「Open Wide」は“強烈な血なまぐさい暴力、性的表現、乱暴な言葉”を理由に“15指定”に分類された。しかしながら、このプログラムは英国内で製作されたビデオのみに適用されるため、リアーナやマイリー・サイラスのように度々常識の範囲を越えるアーティストのビデオは影響されないそうだ。

 英国レコード産業協会の最高責任者ジェフ・テイラーは、「エキサイティングでオリジナリティのある音楽を作る上でイギリスが世界をリードしているのは、一つにはアーティストたちが本当に心に抱いた思いを表現する自由があるからです。この原則を守り続けると同時に、ミュージックビデオは責任ある方法で放送され、親たちは家族のために十分な情報を得た上で視聴を判断できるような手段を与えられなければなりません」と話す。

 Vevoのインターナショナル部門副社長ニック・ジョーンズも年齢指定の決定に対し、「親や音楽ファンが視聴する際、見たいと思うコンテンツを選ぶことが可能になる」と歓迎している。