ストリーミング・サービスに“NO”と言うアーティストたち
ストリーミング・サービスに“NO”と言うアーティストたち

 2週間前にフェイスブックで“アンチ”ストリーミングの投稿をしたニール・ヤングが、自身の曲の大半を各ストリーミング・サービスから引き下げた。7月15日には「私にとってストリーミングは終わっている」とファンに向けて発表していたヤング。理由は金銭的なものではなく、音質が基準以下だからとしている。

 「AMラジオもアナログカセットも8トラックも、ストリーミングより勝る。ストリーミングより完全に優れているよ。ストリーミングは最悪だ。史上最も粗悪なオーディオだ」とヤングは綴っている。

 現在、ストリーミング・サービス上に残っている彼のアルバムは、80年代と90年代初めに出したわずか5作品のみ。ヤングは音質が改善されれば戻してもよいとフェイスブックでコメントしている。

 なお、ストリーミング・サービスに不満を持っているアーティストはヤングだけでなく、その理由も様々だ。

 テイラー・スウィフトは2014年11月にほとんどのストリーミング・サービスから自身の曲を引き下げたものの、現在は全カタログをApple Musicに上げている。2014年7月7日にはウォール・ストリート・ジャーナルに論説を掲載し、Spotifyから楽曲を引き下げた理由を説明した。

 スウィフトは「音楽は芸術。芸術は大切で希少なもの。大切で希少なものには価値があり、価値ある物にはお金を払わなくてはなりません。音楽は無料であるべきではないというのが私の持論で、それぞれのアーティストとレーベルはいつの日か、アルバムのあるべき価格を決めることでしょう。自分たちを過小評価したり、自分たちの芸術を低く見積もったりして欲しくありません」と綴った。

 プリンスは2015年6月下旬、ジェイ・ZのTidal以外のほとんどのストリーミング・サービスから全曲を引き下げた。

 ザ・ビートルズの場合、各メンバーのソロ作品はサービスを選んで聴くことができるものの、有名作品についてはiTunesとの独占契約によりSpotify上にない。ビートルマニアはApple Musicでのみ彼らの膨大なディスコグラフィーに出会うことができるのだ。

 レディオヘッドのトム・ヨークや、ロックバンドのトゥール、カントリー・シンガーのガース・ブルックスは、曲単体よりもコンプリートなアルバム形式に真の価値を見ている点が似ている。ブルックスは自身の曲をどのストリーミング・サービスにも上げておらず、iTunes販売もしていない。また、ヨークは2013年10月にガーディアン紙に対し、Spotifyを“死体が最後に必死でこく屁”と呼んだ。

 キング・クリムゾンやトラヴェリング・ウィルベリーズのようなスーパーグループも、これまでストリーミング・サービスに自身のカタログを上げていない。