SuG“確変の2015年”ミッション攻略に向けた分岐点=史上最長ツアー「解散した仲間たちの想いも勝手に背負っていく」
SuG“確変の2015年”ミッション攻略に向けた分岐点=史上最長ツアー「解散した仲間たちの想いも勝手に背負っていく」

 今までのSuGを全て詰め込んだアルバム『BLACK』。今作を携えた【SuG TOUR 2015『BLACK』】で全国各地のファンを熱狂させてきたSuGが、その最終公演を7月26日 渋谷公会堂にて開催した。

<確変の2015年、新生SuGとしてのブレイクが攻略必須のミッション>

 アルバム『BLACK』リリース前のインタビュー(http://bit.ly/1GR2aGr)で、yuji(g)は「とりあえずもうアルバム『BLACK』を出して、そこでどんな確変が起きるのかな? っていう感じ。そこからまた始まるのかなって。これで何も起きなかったら、僕はもう本当に諦めます(笑)」と語り、武瑠(vo)は「去年より多くの人たちに観てもらえる場所に今年は出たい。それはもう個人だろうが、バンドだろうが、この『BLACK』を聴いてさえもらえればいいから。このアルバムを大切にして2015年は過ごしたい」と語っていた。SuGが目指すは、確変の2015年。ゆえにそれまで積極的に出演していなかった番組にも顔を出すし、海外へも足を伸ばすし、アニメのオープニングテーマも決めてみせるし、全国ツアーも過去最長となる規模で開催したのだろう。

 今までのSuGを全て詰め込み、その上で新境地への扉をこじ開けたアルバム『BLACK』が発表された2015年は、今まで通りであってはいけない。新生SuGとしてのブレイクが攻略必須のミッションなのである。

<“ホールに相応しいコンサート”ではなく“今を振り切るライブ”>

 そんな中で開催された過去最長ツアーの最終公演には、もはや完全に「ヴィジュアル系」という括りで語れなくなったアルバムのツアーだったにも関わらず、その変化を「今のSuGが一番格好良い」と受け入れたファン、そして「このSuGが観たかった」と待ち侘びていたリスナーが会場を埋め尽くし、1曲目のアルバム及びツアーのタイトルトラック「BLACK」から凄まじい歓声を巻き起こす。その目前の光景にリミッターを外してしまったのか、武瑠はマイクスタンドを高く掲げてから後方へと放り投げ、それを狼煙代わりに5人は“ホールに相応しいコンサート”ではなく“今を振り切るライブ”を全身全霊で展開。これにオーディエンスも激しすぎるヘドバンや咆哮のような歓声、右へ左へ踊りながら動き回ったりと“ホールに相応しいコンサート”ではなく“今を振り切るライブ”でレスポンス。BOOWYにおける日本武道館じゃないが、ライブハウス渋谷公会堂を一瞬で創り上げてしまった。

 いつだってドキドキしていたいSuGとそのファンは常識をぶち壊す。その印象は今回のツアー、この日のライブでより強烈なものになった。今を楽しむ、今を振り切る、その点においてSuGの名の下に集いし人々は、おそらく端から冷静に見たら「何これ?」と笑ってしまうぐらい、大いに進化している。「このツアー、みんなが成長しているのが伝わってきて、一本一本かけがえのない思い出ができました。どうもありがとう!」(武瑠)

<“限界の向こう側へ”バンドマン/ミュージシャンとしての覚悟や生き様>

 また、今回のツアーは『BLACK』の演奏難易度が極めて高い楽曲たちをプレイするとあって、各メンバーのスキルも分かりやすく上昇していた。ライブ中盤「Time after time」を歌い終えた武瑠が着替えて再登場するまでのその間、shinpei(dr)、Chiyu(b)、yuji、masato(g)による各ソロを交えた簡単なセッションコーナーも設けられていたのだが、各々に迫力のあるテクニカルなプレイを繰り広げ、ここでもSuGは生まれ変わった事をしっかりと証明。「今日終わっちゃうのがすごく寂しくてさ……でも今日終わっちゃうから寂しいとか言ってられないと思って、全力で最初からぶっ叩きまくってたの! そしたらさっき手攣った」(shinpei)「大丈夫、俺も足攣った(笑)」(Chiyu)

 笑い話にしていたが、当人たちからしたら“限界の向こう側へ”行く事が最低条件のようなツアー、ライブだったはずだ。自らのレベルを強引に押し上げ、自らの許容量を強引に押し広げ、満身創痍になっても実現したかった演奏が、音楽が、ライブがそこにある者たちの、バンドマンとしての、ミュージシャンとしての覚悟や生き様。それも至る所から感じる事ができたライブだった。

<「teenAge dream」打ち切られることのないストーリー>

 本編最後「CRY OUT」から始まるブロックで、SuG史上最もラウドで、SuG史上最もグルーヴィーで、SuG史上最もポップで、SuG史上最も音楽の楽しさを体感させるアクトを繰り広げた(このブロックをまんま某大型野外ロックフェスにぶち込んだたら、SuGの世間的な評価は一気に変わるだろうなぁ)彼らは、アンコール1曲目に最新シングルナンバー「teenAge dream」を披露した。「限界だとか現実だとか 死ぬまで知らんで良いことばかりだ」「叶わなくても 叶えてやるのさ」「やればできるさ」等、喉の治療の為に一時活動を休業することになった武瑠がその期間に吐き出した言葉たちは、SuG史上最もストレートでエモーショナルな音楽に乗り、我々の心を何度も何度も震わせる。

 一度は遠ざかったあの夢を、そしてその先に広がるもっとどデカい夢を実現していく為のストーリーは、この5人とこの5人が織り成す表現物を愛する者がいる限り打ち切られることはない。そう確信させる重要な5分強だったと言える。

<「返していこう」じゃなく「一緒に分かち合っていきたい」>

 「ツアー廻ってきてね、各地でみんなの顔観てね、すげぇ元気もらって。結構体とかボロボロでツラい日もあったんだけど、ファンのみんなの顔を見たら目一杯楽しんでて、単純に嬉しいなって思えて。この場所に立てて良かったな、ドラムやってて良かったなって…………泣く話でもないんだけどさ! いや、でも本当にドラムが叩けて幸せだな、うん。これからもよろしくお願いします!」(shinpei)

 「初日に首を壊して、髪の毛が動く動きを一切するなってお医者さんに言われてたんですよ。でもいざライブが始まってみんなの顔を見たらすげぇ楽しくて! じっとしていられない状態っていうのがあって。本当に楽しい、なおかつ成長できる、俺らもみんなも成長できるライブがしっかり出来たんじゃないかなと思って、本当に感謝しています。ありがとうございます!」(Chiyu)

 「みんな最高じゃん、ありがとう。やっぱり、今日ファイナル迎えて、本当に……特にありません(笑)」(yuji)

 「今回のアルバムはバンドにとって何段飛びかの難しさがあって、正直、ライブがどうなるのか想像つかなかった。でもツアー始まって1本目から凄い盛り上がりで、それによってバンドのテンションだったり、そういうところはすごく助けられました。今回のアルバムやツアーは、この先SuGがもっと大きくなったりとか、もっと凄いバンドになっていく過程できっと「ここがSuGがデカくなるポイントだったね」みたいになると思います」(masato)

 「分岐点になるツアーだったと思います。本当の意味での復活のツアーになると思っていたんですけど、個人的にも乗り越えなきゃいけない壁がたくさんあって、心が挫けちゃいそうなときもあったんですけど、この長いツアーの中で、それぞれの箇所のフロアの景色、みんなの顔を見て、本当に勇気もらいました! ありがとう! 返していこうかなとか、そんな上からの言葉は合ってないと思うんで、一緒に分かち合っていきたいなと思います。よろしくお願いします!」(武瑠)

<「一緒に背負ってくれる人たちがここにいると俺は信じているので」>

 そう各々に今回のツアーを支えてくれた人々への感謝を告げ、最後のブロックに突入する直前、武瑠は同じ時代を生きた戦友たちについても言及した。

 「このツアーの直前、仲の良いバンドがたくさん解散したり活休したり、そういう別れとかもあって。改めてね、バンドって自分たちだけじゃ出来ないんだなと思い知らされました。その仲間たちの想いも、頼まれてないけど勝手に背負っていこうと思います。一緒に背負ってくれる人たちがここにいると俺は信じているので。こんな時代にチケット取って会いに来てくれて本当にありがとうございます。いろんな想いでここに来てくれたと思います。暴れたい、踊りたい、泣きたい、感動したい、ドキドキしたい。その願い、ラストまで全部叶えてやるつもりでいるんで、かかってこい、いいか!? かかってこい、いいか!? 迷っても、見失っても、何度でも始めようぜ!」

 この後の「gr8 story」「上海ハニー」「LOVE SCREAM PARTY」「ときどきすてきなこのせかい」がとんでもない大盛況になったことは記すまでもないが、こんなことを心の底から言えてしまうバンドのストーリーがドキドキしない訳ないし、夢半ばで終わっていい訳がない。出逢ってくれた者たちへの想いを胸に、自分が信じたもので夢を叶えようとする、世界を変えようとしている、まるでマンガの主人公のようなロックバンド SuG。12月には東阪で【VersuS 2015 極彩SuG VS 極悪SuG】を開催する事も決定しているが、まだまだこんなもんで終わらない彼らの快進撃、もとい革命劇に注目してほしい。

取材&テキスト:平賀哲雄
撮影:山内洋枝

◎ライブ【SuG TOUR 2015『BLACK』-FINAL-】
07月26日(日)渋谷公会堂 セットリスト:
01.BLACK
02.HELLYEAH
03.MISSING
04.overflow
05.B.A.B.Y
06.Luv it!!
07.DEAD or DEAD
08.STAY TUNED
09.神様の悪戯
10.Time after Time
11.hey 俗 funk you
12.sweeToxic
13.FRIDAY!!
14.CRY OUT
15.SOS
16.一蓮托生
17.heavy+electro+dance+punk
18.不完全Beautyfool Days
19.影炎
En01.teenAge dream
En02.gr8 story
En03.上海ハニー
En04.LOVE SCREAM PARTY
En05.ときどきすてきなこのせかい

◎ライブ【VersuS 2015 極彩SuG VS 極悪SuG】
極悪SuG
12月24日(木)ディファ有明(東京)
12月28日(月)松下 IMP ホール(大阪)
極彩SuG
12月25日(金)ディファ有明(東京)
12月29日(火)松下 IMP ホール(大阪)