Album Review: ジョアン・サビア 心地ちよさを追求したアーバンなブラジリアン・サウンド 〈Billboard JAPAN〉|AERA dot. (アエラドット)

AERA dot.

Album Review: ジョアン・サビア 心地ちよさを追求したアーバンなブラジリアン・サウンド

このエントリーをはてなブックマークに追加
Billboard JAPAN
Album Review: ジョアン・サビア 心地ちよさを追求したアーバンなブラジリアン・サウンド

Album Review: ジョアン・サビア 心地ちよさを追求したアーバンなブラジリアン・サウンド

 とにかく心地ちよさを追求した音楽。ジョアン・サビアの新作『ノッサ・コパカバーナ』は、そんな印象が強く残る傑作である。アダルトで都会的なリズム・セクションやメロウなギターを基調にした冒頭のアルバム表題曲から、完全にノックアウトされる。ボサノヴァというジャンル自体、独特の快楽をもたらす音楽だが、そのなかでも彼の歌とサウンドの耳当たりの良さは格別だ。


 1981年生まれのジョアンは、もちろんボサノヴァ世代ではない。しかし、90年代以降に脚光を浴びたセルソ・フォンセカやヴィニシウス・カントゥアリアといった新世代ボサノヴァには、少なからず影響を受けたに違いない。彼の音楽のベースには、リオ・デ・ジャネイロ生まれならではのサンバ精神も根付いているし、今時のロックやダンス・ミュージックなども肥やしになっているだろう。それらが絶妙なバランスを持って、ソフトな歌声でアウトプットされているのだ。


 この『ノッサ・コパカバーナ』にも、もちろんブラジル音楽の伝統的なエッセンスが中核に存在する。サンバ、ボサノヴァからブラジリアン・ファンクにいたるまで様々ではあるが、一貫しているのは洗練されたコンテンポラリー・サウンドであること。AOR、ソウル、ネオアコ、ジャズ、フォークといった隠し味もそこかしこに散りばめられ、全体的になめらかな質感に仕上げているのだ。昨今のブラジルのアーティストたちが、比較的ルーツ指向であるのに対し、ジョアンは徹底的にアーバンなブラジリアン・サウンドを追求している。伝統や格式もしっかり取り入れた上でここまでのことをやり遂げる実力は本物の証といっても過言ではない。


 とはいえ、彼の音楽はそんな小難しく考えながら聴くべきではない。リオのコパカバーナ海岸で潮風に吹かれるような気持ちで、快適な時間をじっくりと味わってみてはいかがだろうか。


Text: 栗本 斉


◎リリース情報
『ノッサ・コパカバーナ』
ジョアン・サビア
2015/03/18 RELEASE
2,484円(tax incl.)


トップにもどる billboard記事一覧


おすすめの記事おすすめの記事
関連記事関連記事
あわせて読みたい あわせて読みたい