ゲスの極み乙女。キャリア初のフルアルバムの“すごすぎる”魅力とは?
ゲスの極み乙女。キャリア初のフルアルバムの“すごすぎる”魅力とは?

 結成から2年半、「キラーボール」で音楽シーンに彗星の如く登場してから約1年。ゲスの極み乙女。が、遂にメジャー1stフルアルバム『魅力がすごいよ』を完成させた。今作はメジャー1st両A面シングル「猟奇的なキスを私にして」をはじめ、リード曲であるとともに、超大型タイアップが決まった「デジタルモグラ」はもちろん、センセーショナルな歌声とメロディーがドラマティックに展開していく「ラスカ」、「crying march」など、リード曲級のナンバーがずらりと並ぶ。

 その中でも注目すべきは「星降る夜に花束を」だ。ゲスの極み乙女。として最初に制作した『ゼロの理由は花束で』をリアレンジしたというだけあり、初期のゲスのスタイルを強く匂わせつつも、原曲からがらりと姿を変えた、洗練された楽曲に仕上げている。これを聴き比べていただければ、彼らの2年半の活動過程での進化を確かに実感できる1曲である。

 さらに、今作の裏テーマにもなっている“クラシック”を決定づけたという「列車クラシックさん」は、まさに列車+クラシックで、歌は「ガッタンゴットン」のみ、曲の大半はキーボードのちゃんMARIのピアニストとしての魅力を最大限まで引き出した、ラヴェルの『水の戯れ』の1節をモチーフにしたソロで聴かせる1曲。このあたりの楽曲を盛り込んでくるあたりも彼ららしいが、それに伴い、アルバム全体を通して聴くと、ゲスにしては“落ち着きのあるアルバム”という印象を受けた。とは言え、遊びに遊びまくった、ユーモラスでシニカルな「アソビ」をはじめ、川谷絵音の独創的なソングライティングは健在。ドキッとするような刺激的なワードが所々でスパイスを効かせたり、どうしよもないジレンマみたいな感情をラップに乗せて爆発させたり、何者も恐れず、ズバっと切り込んでいく川谷の度胸もしっかりと反映されている。研ぎ澄まされたポップ・センスはそのままに、彼らのブラックな部分もふんだんに、かつクラシカルな要素が優しくアルバム全体を支えているのだ。

 ゲスの極み乙女。入門編としても、すんなりと彼らの魅力にのめり込むことのできる一作であるとともに、ヘビー・リスナーにとっても、自由奔放な過去の作品とはひと味違った彼らのサウンドアプローチを体感できる、まさに、ゲスの極み乙女。の全てが昇華された傑作である。

◎リリース情報
『魅力がすごいよ』
2014/10/29 RELEASE
<完全生産限定ゲスなトート盤>
WPCL-12024 3,780円(tax in.)
<初回限定魅力的なプライス盤>
WPCL-12025 2,300円(tax in.)
<通常盤>
WPCL-12018 3,024円(tax in.)
・収録曲
01.ラスカ
02.デジタルモグラ(ドラマ「すべてがFになる」主題歌)
03.crying march
04.星降る夜に花束を
05.列車クラシックさん
06.猟奇的なキスを私にして(ドラマ「アラサーちゃん 無修正」オープニングテーマ)
07.サリーマリー
08.ruins
09.アソビ (isai FL TV-CMソング)
10.光を忘れた
11.bye-bye 999