結成から20周年を迎えたベースメント・ジャックスが鳴らす情熱の結晶、その新作の魅力とは? 〈Billboard JAPAN〉|AERA dot. (アエラドット)

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結成から20周年を迎えたベースメント・ジャックスが鳴らす情熱の結晶、その新作の魅力とは?

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結成から20周年を迎えたベースメント・ジャックスが鳴らす情熱の結晶、その新作の魅力とは?

結成から20周年を迎えたベースメント・ジャックスが鳴らす情熱の結晶、その新作の魅力とは?

 【FUJI ROCK FESTIVAL ‘14】の初日、ベースメント・ジャックスのステージは素晴らしかった。一言で言えば、それは純粋な情熱の形だったと思える。1人でも多くの人を、ダンスの開放感と熱狂、そして恍惚感の彼方に連れ去ってやるのだ、という情熱。それを自分たちがやらねば誰がやるのだというくらい、徹底して献身的なダンス・ミュージックを鳴らし、笑顔まみれのステージを生み出してしまっていた。ちょうど10年前にも同じホワイト・ステージで伝説的なライヴを繰り広げた(2009年にもグリーン・ステージのクロージング・アクトを務めている)彼らだが、その伝説に勝るとも劣らない、そんな名演であった。


 さて、そんな今回のパフォーマンスの中核を担っていたのが、フジロックの約1月後にリリースされたニュー・アルバム『Junto』の収録曲である。思えば、スカイブルーのポンチョを近未来風にデザインしたステージ衣装といい、【BIG BEACH FESTIVAL ‘13】での来日公演も既に新作モードのベースメント・ジャックスではあったが、フジロックでは新作曲が次々に披露され、往年の名チューン群と比較しても遜色ないハイライトを演出していた。


 冒頭でソウル・ママたちが力強く歌い上げていた「Unicorn」や、ハープのように美しい音色のイントロからドラマティックに立ち上がるディスコ・チューン「Power To The People」。日本盤の『Junto』ではボーナス・トラックとして収められているシングル曲「Back 2 The Wild」を歌っていたのは中国系と思しき2人のアジアン・ビューティーで、エモーショナルなフックを持つ男性ヴォーカル曲は「Never Say Never」。情熱的なスパニッシュ・ギターを配してライヴのクライマックスを堂々担っていたラテン・ハウス“Mermaid Of Salinas”など、大勢のヴォーカリストが入れ替わり立ち代わりで登場する賑々しいステージと同様に、新作曲は現在のベースメント・ジャックスの姿を鮮やかに伝えていたのだ。


 英語で『Junto』は「秘密結社」などの意味だが、今作タイトルはスペイン語で『フント』と読み、「一緒に」という意味になるそうだ。ソウルフルなハウスから艶かしいUKガラージ、初期ドラムンベースの荒々しいダイナミズムが映える「Buffalo」、物憂いメロディが浮かび上がるポスト・ダブステップの美曲「Something About You」など、ベースメント・ジャックスが携わって来たブレイクビーツの歴史を視界に収めつつ、しかし重苦しさを排してすこぶるキャッチーに、開放的に響き渡る楽曲群は、世界中のあらゆる人々を歓喜のダンスに巻き込んでやろうとする情熱の結晶である。


 ベースメント・ジャックスは、永きに渡ってパートナーシップを結んでいたXLレコーディングスとの契約を満了させ、新作『Junto』は自身のレーベルを通してのリリースとなった。結成からは20周年。いよいよベテランの域に差し掛かろうというキャリアの持ち主ではあるが、そんな彼らがどこまでも風通しの良い、確かな情熱を受け止めさせる作品を携えて、新しい季節に踏み出していることが何よりも嬉しい。


Text:小池宏和


◎リリース情報
『Junto』
2014/08/20 RELEASE
HSE-30335 2,371円(tax out.)


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