BiS“奇跡の宴”大友良英が絶賛/坂田明とフリージャズ/非常階段から勧誘
BiS“奇跡の宴”大友良英が絶賛/坂田明とフリージャズ/非常階段から勧誘

 4月22日 日本のジャズミュージシャン/フリークにとっての聖地 新宿ピットインにて【JAZZ非常階段+JAZZBiS階段】なる異色イベントが開催された。

【JAZZ非常階段+JAZZBiS階段】ライブ写真一覧

<非常階段×坂田明×大友良英×BiS=誰も知らない世界>

 同イベントは、世界初のノイズバンド 非常階段(JOJO広重、T.美川、JUNKO、岡野太)、日本を代表するジャズサックス&クラリネット奏者 坂田明、連続テレビ小説『あまちゃん』の音楽を担当した大友良英、目的の為なら全裸も厭わないアイドルグループ BiSからのぞしゃん&ウイぽんと、出演者を羅列するだけでもカオスぶりが分かる、そして新宿ピットインの歴史からしても前代未聞となる内容で、首謀者のJOJO広重は常時ゴキゲン。ノイズとフリージャズとアイドルとロックと……本来交わらないものをミクスチャーし、誰も視聴したことのない世界を次々と創造していく。

<赤子同然ののぞしゃん&ウイぽんであったが……>

 また、BiSの2人は、非常階段とのユニット“BiS階段”での活動が縁で出演していたものの、今回のラインナップにおいては赤子同然。しかしのぞしゃんはT.美川と並んで“人体解剖”を彷彿とさせる手つきでノイズを轟かせ、ウイぽんは坂田明の後方でドラムを叩き倒し、さらにはJOJO広重と2人で頭脳警察「さよなら世界夫人よ」をデュエット。何でもありのライブパフォーマンスで知られるBiSの中でも決して観ることのできない一面、あまりに新鮮で奇妙で生々しいプレイや歌声でもって観客を圧倒していく。

<偉大なる大先輩たちがBiS賞賛 のぞしゃんを非常階段に?>

 そんなウイぽんいわく“凡人の悪あがき”を面白く感じたのか、大友良英は「いいおじさんたちがBiS階段、BiS階段ってうるさいなと思っていたんだけど、気持ちがよく解った。ヤバイね!」と笑顔を浮かべ、坂田明も2人のパフォーマンスを賞賛。JOJO広重においては、のぞしゃんを養子にもらいたいと思っていること、BiS解散後は非常階段に加入させたいと企てていることを、どこまで本気で冗談かは分からないが、ステージ上で示唆していた。

 そんな面々による宴の最後は、全員集合でのフリージャズ(ノイズ?)。誰もが自由にその音で暴れ回り、表現する者同士の間に垣根はないこと、音楽は自由であることをこれ以上ない形で体言してみせた。

<5/6渋谷WWWでBiS階段解散 6/25にはSuG×BiSツーマンも>

 なお、BiSと非常階段は、5月6日 渋谷WWWにてBiS階段の解散ライブを開催。BiS単体としては、5月1日よりラストツアー【THE BiS WHO SOLD THE WORLD TOUR】を再開し、7月8日 横浜アリーナ公演を最後に解散する。また、先日、6月25日にヴィジュアル系シーンの異端児 SuGとのツーマンライブ(http://bit.ly/1lIDx3P)を開催することも発表した。

◎BiSのぞしゃん&ウイぽん 終演後インタビュー

--今日のライブの感想をお願いします。

ウイぽん:あのね、汗もたくさんかいたし、途中気を失いそうになったんですよ。……フッて。それぐらい、いろんな気力を使いました。ビッグネームと共にやるっていうのは、最初は重圧だったんですけど、だんだん「こんにゃろー!」みたいな感じになって。技術的にはもちろん劣るけど、ノイズには正解がないから。こう来たらこう返すっていう、会話みたいな感じになってきて楽しかったですね。あと、気付いたら前にいるのぞしゃんの背中の安心感が変わってくるんですよ。「なんだ、このノイズの女王現る感は!」って。

のぞしゃん:(笑)。でも始まるまでは怖かったです。決まったときに「私がいていいのかな?」って胃が痛くなって。BiS階段のとき冗談でセッションみたいなことをさせてもらいましたけど、まさか本当に美川さんに弟子入りすることになるとは思ってなかったんで……

--弟子入りどころか、このまま行くとJOJOさんの娘ですよ?

のぞしゃん:アハハハハ!
ウイぽん:養子になる可能性があるからね。だって、のぞしゃん、ファンの方から機材まで頂いて。もうマイノイズ機材を持ってるんだから。
のぞしゃん:もう後には引けないので、こうなったらやるしかないなって、今日はもう気力で乗り切りました。でもやっているうちにだんだん要領が解ってきたので、今までより楽しくなってきました。

--非常階段加入なるか。

のぞしゃん:どうなるんでしょう。
ウイぽん:BiSは解散しちゃいますけど、大友さんや坂田さんも「海外行ったら絶対ウケるよ」って言ってくれたので、フリーになったら非常階段の一味として行くのもすごく面白そうだなって。これだけで終わっちゃったら勿体ない!

取材&テキスト:平賀哲雄
撮影:内山直也