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写真の殿堂 2016.10 選出作品

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選者より総評にかえて(小林紀晴)

 殿堂入りはテラウチギョウさんの「tilt」という作品を選ばせていただきました。このコンテストには珍しいタイプの作品です。斬新です。あたかも忍者のようにも映りました。きっと何の変哲もない場所での撮影なのでしょうが、明確なイメージが頭のなかにあったのだと思います。それを目に見える形に描き上げたように感じました。写真には偶然の出会い頭をスナップする醍醐味もありますが、こんな創造力にあふれた一枚もいいものです。これからも斬新な作品を期待しています。個人的には田村祐二さんの「夢兄弟」という作品にほっとさせられました。時間がたつと、きっとより貴重に感じられる一枚ではないでしょうか。違った写真の魅力がここにもあります。



1位(殿堂入り)

作者:テラウチギョウさん/タイトル:tilt

作者:テラウチギョウさん

タイトル:tilt


シンプルでとても強い一枚です。壁を駆け上がっている一瞬をとらえたのでしょうか。黒い服と影の境目がなくなって、さらに髪の毛にも同様のことがいえます。だから、現実との境目も曖昧に感じられるのです。動的でありながら静的なのも大きな魅力です。

2位(佳作)

作者:村松克則さん/タイトル:背中

作者:村松克則さん

タイトル:背中


コメントには「シロサイの背中」とありました。動物園で撮影されたのでしょうか。完璧なまでのシンメトリーの構図。こぼれるやわらかな日差し。全体でなく、部分を切り取っているので、抽象的なイメージの延長に感じさせます。動かぬ山脈のようです。

作者:山本春町さん/タイトル:自画像

作者:山本春町さん

タイトル:自画像


あたかも鉛筆画のようです。短い時間で印象だけをさっと手で描きとめたかのように見えました。自画像だから、余計にそう感じさせるのでしょうか。どういうわけか江戸末期、明治初期の古いサムライの写真にも見えてくるのです。

3位(入賞)

作者:Yuto/びーとるさん/タイトル:「視線」

作者:Yuto/びーとるさん

タイトル:「視線」


おそらく女性の写真を線路脇で撮影しているとき、電車が通過したのでしょう。車掌さんと目があうとは想像もしなかったはずです。主役がこの瞬間に入れ替わりました。車掌さんが主役です。ブレがなく、ピントが合っていたら、より強い一枚になったでしょう。

作者:太田茉生さん/タイトル:無題

作者:太田茉生さん

タイトル:無題


気になる一枚でした。何故かセルフポートレイトのように感じたのですが、詳しいことはわかりません。いずれもしても花らしき物陰から、こちら側を覗いています。寂しいのに愛しいものを見つめている。そんな気持ちにさせられます。

作者:檀上純一さん/タイトル:特殊メイク

作者:檀上純一さん

タイトル:特殊メイク


人間と猫。まったく似ているわけではないのに、似ています。人間のなかに猫が潜んでいるかのようです。ミュージカル「キャッツ」のメイクを思い出しもしました。ザラっとした加工も内容に合っていて、効果的です。

作者:徳永隼さん/タイトル:其処に或る愛

作者:徳永隼さん

タイトル:其処に或る愛


お子さんでしょうか。日常の何気ない一コマが、意味深な光景に変換されています。ミルク(?)を飲む頬に強い光。そのあたりだけを残して、あとは沈んでいます。誰も見たことのない光景。ふとそんな言葉が浮かびました。

作者:村手真さん/タイトル:街角

作者:村手真さん

タイトル:街角


手前の羽状のものはお祭りの衣装でしょうか。こんな動物がいないともかぎりませんが、インパクトがあります。その向こうに、いくつもの要素が何層にも重なって続いています。その重なりが見事です。関連がないからこそ、飽きません。

作者:写真部員さん/タイトル:Galaxy

作者:写真部員さん

タイトル:Galaxy


コメントには「最近のスマホ画面のキレイさには、驚かされる」とありました。本当です。スマホのなかにこそ真実があって、周りの現実の方がモニターに映されたもののように見えるのはそのためでしょうか。虚と実が反転しています。

作者:西正幸さん/タイトル:叫び

作者:西正幸さん

タイトル:叫び


彼岸花でしょうか。真俯瞰です。真ん中に横たわっているのは何でしょうか、この異物がアクセントとなり花々を押さえつけているようにも映ります。感情のないはずの花と異物がお互いに何かを語り確かに叫んでいるように見えてきます。

作者:酒居誠さん/タイトル:DIESEL TRAIN

作者:酒居誠さん

タイトル:DIESEL TRAIN


コメントによれば「非電化路線」のため架線がないとのことです。光の反射が見事です。どこか遠い国の大地を走る列車のように見えきます。金属にも感情と意思、そして体温があることをこの一枚は教えてくれます。

作者:田村祐二さん/タイトル:夢兄弟

作者:田村祐二さん

タイトル:夢兄弟


一歳にならないお子さんとのことです。飼い猫と一緒に昼寝をしています。確かに夢のような一枚です。二つの命の関係について、思いを巡らせます。飼い猫の方が年上でしょう。普段の一人と一匹の戯れも是非、見てみたいです!
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