これはスナップ撮影にも適用される。例えば大勢の観光客の顔が写っている写真などでは、そのすべての人のリリースがないと写真を販売できない。もちろん不可能だ。

「なので集合写真は顔が判別できないほど離れるか、流し撮りのようにして撮る必要があります」(ピクスタ審査部)

 また、普通に見るぶんには気づかないが、写真を等倍に拡大すると人の顔が判別できるものもある。

「写真はすべて等倍にして確認しています」(同)

 さらにビックリするのが、ポスターやテレビ画面の中の有名人が写真に写っていたときも、その人の「モデルリリース」が必要になることだ。その場所に実際にいた人だけとは限らないのである。

 これはストックフォトの写真があくまで「広告」として使われ、しかもその利用について基本的に買った人の自由である、という前提がある(ただしアダルト広告など使用不可)。自分にはその意識がなくても、写真にタレントのポスターが写っていれば、そのタレントの顔だけ使ったチラシができてしまう。

■適用範囲が広いプロパティリリース

「プロパティリリース」とは、モノの所有権、権利関係についてのルールで、他人の所有物を勝手に撮影して販売してはならない。これはピクスタに提出する必要はないが、相手の承諾を得ているのが前提になる。

 たとえば自分の家を勝手に誰かが撮って、翌日シロアリ退治のチラシに使われていたらかなり不愉快だろう。そういうことを防ぐためのルールである。

 プロパティリリースは「建物」「商品」「ペット」など広範囲に及ぶ。「東京タワー」「海外の教会」などは、有名な建築物だが、その建物しか写っていないためリリースが必要になる。だが、建物を「街並みとして」撮影したものであればリリースは必要ない。

 他にも、柵に囲われているわけでもなく、ただ海沿いに置かれているだけの芸術作品なども、撮った写真を販売してよいか、権利者に確認しなければならない。

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