なぜ南アフリカがアフリカ最大の観光見本市を開催するのか?/後編 <アフリカン・メドレー> (2/3) 〈アサヒカメラ〉|AERA dot. (アエラドット)

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なぜ南アフリカがアフリカ最大の観光見本市を開催するのか?/後編 <アフリカン・メドレー>

ダーバンの展示ブース。南アからの出展は、9つある州ごとに代表ブースを構え、さらにその周辺で各州からのブースが点在するという構成。数も質も、圧倒的だ。(ダーバンICC・南アフリカ 2016年/Durban ICC,South Africa 2016)

ダーバンの展示ブース。南アからの出展は、9つある州ごとに代表ブースを構え、さらにその周辺で各州からのブースが点在するという構成。数も質も、圧倒的だ。(ダーバンICC・南アフリカ 2016年/Durban ICC,South Africa 2016)

左の女性が、ヨハネスブルク市広報PRマネージャのローラ氏。(ダーバンICC・南アフリカ 2016年/Durban ICC,South Africa 2016)

左の女性が、ヨハネスブルク市広報PRマネージャのローラ氏。(ダーバンICC・南アフリカ 2016年/Durban ICC,South Africa 2016)

RETOSA(南部アフリカ地域観光機構)。共同出展者どうしで助け合いながら運営していた。(ダーバンICC・南アフリカ 2016年/Durban ICC,South Africa 2016)

RETOSA(南部アフリカ地域観光機構)。共同出展者どうしで助け合いながら運営していた。(ダーバンICC・南アフリカ 2016年/Durban ICC,South Africa 2016)

 偏見の克服に力を入れるアクティビティも見られた。「世界で最も危険」「世界一治安が悪い」などと形容され続けてきた南アのヨハネスブルクのブースでは、ヨハネスお散歩ツアーを大々的に推していた。ヨハネスブルク市広報PRマネージャーのローラ氏も、熱い。

「ヨハネスブルクが危ないと人は言うが、危険な地域は極めて限定されています。人は、インターネットを見ただけで判断しがちです。ヨハネスブルクは危ない、アフリカは危ないというけれど、(総体として)それは事実ではありません。実際に訪ね、実際に見ることが、何よりも事実を知るための近道です。だから、ヨハネスブルクを歩き回っていただくのがいいんです。ビジネスも音楽も流行も、南アにあるものすべては、ヨハネスブルクから始まります。南アのすべてが、ここに集まっています」

悪評が広まってしまった他のアフリカの都市でも、このお散歩ツアーの手法は展開できると感じた。

 南ア当局の心意気も、たいしたものだと思う。外側から見る限り、こと観光業において、南アがアフリカ全域を鳥瞰(ちょうかん)せねばならない動機付けは、それほど重いようには感じられないからだ。

 そもそも、南アが携える観光資源は、56の国々を内包するアフリカの中でも圧倒的だ。ライオンや象といった野生動物と巡り会えるサファリがあり、風光明媚(めいび)な自然の景観がどこまでも続く。肉も魚も野菜も豊富に摂れる上、西欧と同じ調理方法を取るため外国人にも味わいやすい。南ア原産のワインも有名だ。気候は温順で穏やかなもの。暑いと感じるよりは涼しい気候が続く。

 観光をする上でのインフラも極めて整っている。しゃれたホテルがどこにでもあり、上質なサービスが受けられる。安価な国内航空便が縦横に就航しているだけでなく、きれいに舗装された道路がどこまでも続いており、空の移動も陸の移動も安価で快適だ。これだけなにもかもがそろったアフリカの国は、南アを除いてはないだろう。放っておいても観光客は来るだろうとすら、私には感じられる。

 しかし、そんな南アであっても、エボラウイルスが西アフリカにまん延した時期には観光客が激減した。南アからはるかかなたで起こった、南アには全く影響のないできごとでも、アフリカの外から見れば、アフリカはアフリカ。南アフリカ観光局の近藤氏は、「エボラの影響により、日本からの観光客は、ほぼゼロにまで落ちたと言っていい」と話す。

 同氏はまた、「2010年のサッカーワールドカップ以来、“南アだけ”にならないよう気を配っている」とも話していた。自国だけのことを考えていては、自分ひとりも立っていられない。アフリカの中の南アであることを強く認識し、共生の道を常に意識していることを知り、私は胸が熱くなった。


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