春の京都から発信する「KYOTO GRAPHIE 国際写真フェスティバル」が開催

アサヒカメラ

春の京都から発信する「KYOTO GRAPHIE 国際写真フェスティバル」が開催

写真上段:「Eternal Japan 1951-52」ワーナー・ビショフ(マグナム・フォト)・無名舎、写真下段:「眼から心への細糸」スタンリー・グリーン(NOOR)・誉田屋源兵衛 黒蔵
 春の京都で「KYOTO GRAPHIE 国際写真フェスティバル」が開催中だ。
 昨年から始まったこの写真祭は、京都市内の神社や町屋など15会場をまわって国内外の写真家の展示を楽しめるというものだ。会場は、観光ではなかなか入ることはできない貴重な歴史的建造物も多い。
 たとえば、広川泰士さんは、ふだんは一般公開されていない重要文化財の下賀茂神社細殿で、「STILL CRAZY」を展示した。1990年代初頭に「アサヒカメラ」で発表した、全国の原子力発電所がある風景を撮った作品である。
 神社でこの作品を展示することは、主催者のルシール・レイボーズさん、仲西祐介さんからの提案だったそうだ。今回の「KYOTO GRAPHIE」のテーマは、「Our Environments 私たちを取りまく環境」。いままさに日本が抱えている問題を、古くからの日本人の精神が宿るこの場所であらためて見つめ直すという展示に。「時間の変化、自然環境を常に考えながら制作してきた」と話す広川さんの作品にふさわしい空間となった。

 西野壮平さんは、市内を一望できる京都駅ビル7階東広場で、京都、東京、パリ、ニューヨークなどを俯瞰した風景の写真をコラージュし制作した作品を展示。街を歩いた自分の記憶を一枚に表現する西野さんの作品は、京都を巡りながら作品や街と出会う喜びを与えてくれる「KYOTO GRAPHIE」のコンセプトと通じるものがある。

 ほかにもマグナム・フォトの所属作家だったワーナー・ビショフが戦後の日本をとらえた作品が明治時代に建てられた町屋・無名舎にて展示、江戸時代から続く帯匠・誉田屋源兵衛 黒蔵には、報道写真家スタンリー・グリーンの地球温暖化をテーマにした作品などが展示され、写真をきっかけに京都のさまざまな顔を知ることができる。また、旧日本銀行京都出張所でいまは京都文化博物館の別館として使われている建物では、NASAの調査衛星の高解像度カメラが撮影した火星の画像をアーティストの高谷史郎さんが巨大スクリーンを使ってインスタレーションとして展示したりと、最新技術と伝統が融合した見応えたっぷりな内容だ。
 
 歴史や物語を持つ重厚な展示会場にも負けず写真が生き生きと見えてくるのは、空間デザインへのこだわりからである。京都の竹職人と共同で作成したイーゼルを使って床の間に写真が展示されるなど、ホワイトキューブで写真を鑑賞するのとはまったく異なる体験ができる仕掛けが散りばめられているのだ。

 主催者のレイボーズさんはフランスの写真家、仲西さんは照明デザイナーだ。フランスのアルル国際写真フェスティバルのにぎわいを見て、アジアにも写真家や写真愛好家が気軽に情報交換をするプラットフォームが必要と実感。フランスのように、写真をもっと身近に感じてほしいと願い「KYOTO GRAPHIE」を始めたという。ふたりとも京都出身ではないが、いまは京都に活動の拠点を置いている。京都から発信される新しいかたちの写真祭に今後も期待したい。

第2回KYOTO GRAPHIE国際写真フェスティバル
4月19日~5月11日 全15カ会場9カ国のアーティスト、写真家による展示
会場パスポート:一般2000円、大学・中高生1000円
※京都市内で約50の会場で行われるサテライト展「KG+」や作家のトークショーやワークショップもあり。詳しくは公式ホームページ(http://www.kyotographie.jp/about)へ。

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