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表現編 黒を印象的に表現する

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 黒い被写体をより黒く写すことでローキー写真の表現ができる。
ここでは「アクセント光」を加え、ひと味違ったローキー写真を狙ってみる。
 

■アクセント光を加え、黒い被写体のエッジや質感を際だたせる

マイナス3.0EV露出補正したローキー写真

器の向かって左側から比較的軟らかい光が差し込んでいる条件。マイナスの露出補正によりローキー写真の雰囲気は出ているが、器の存在をさらに強調させたい。

ローキー写真にアクセント光を加えた

フラッシュとレフ板によるバウンス光(反射光)で器のエッジや質感を強調したもの。露出だけで調整したのではない、味のあるローキー写真になった。
 
 白や黒の被写体を写すには、まず白や黒をそれぞれ正しく白または黒として再現することが重要だ。それには「白い被写体を白く写すには」「黒い被写体を黒く写すには」でそれぞれ解説したように、白い被写体の場合はプラスの露出補正、黒い被写体の場合にはマイナスの露出補正を行えばよい。一歩進んで白や黒を印象的に写すには、白を強調した「ハイキー」や、黒を強調した「ローキー」の表現をする。ハイキーの場合は、「白を印象的に表現するには」のように、露出をオーバーめにするとハイキー表現ができる。しかし黒い被写体の場合、露出を単純に切り詰めていくだけでは、ただ黒いだけの写真になりかねない。
 そこで工夫したいのが「アクセント光」だ。上左はローキーに撮った写真で、それなりに雰囲気はあるが、器の輪郭や質感がわかりにくい。対して上右は、フラッシュのバウンスによる「アクセント光」を加えたもの。クリップオンストロボの光を被写体の向かって左側に投射し、レフ板でバウンス(反射)させている。これによって器のエッジや表面にハイライトが生まれ、器の存在を引き立てる写真となった。
このとき、輪郭を際立たせるフラッシュ光を直接当てたり、天井でバウンスさせたりするのではなく、サイドから当てるのが効果的だ。フラッシュ光を直接当てると順光となって影が出にくくなり立体感が損なわれるし、天井バウンスでは光がよく回るが、やはり立体感の乏しい写真となってしまう。
 もうひとつ、ローキー写真の表現では、被写体と背景を似たような明るさ、似たような色調で揃えることも大事だ。そうすることでローキー写真の雰囲気を出しやすい。下左の作例は、茶色の背景に黒い器を置き、マイナスの露出補正を行って撮ったもの。器の黒は締まっているが、背景の茶色が比較的明るいままで、ともすれば器より背景のほうに視線が行ってしまう。背景を暗いものに替えるとローキー写真らしくなる。ただこのような場合も、フラッシュのバウンス光を加えると、器の存在感が増す。ローキー写真で物足りなさを感じたら、もうひとつ別の光を加えてみるといいだろう。
 以上のように、プラスの露出補正で表現できるハイキー写真に比べると、ローキー写真は単に暗く写しただけではうまくいかないことも多い。作例のようなアクセント光を加えるなどして、さまざまな工夫を行ってみよう。

マイナス3.0EV露出補正したもの

マイナス3.0EVとかなり強めの露出補正をしている。器はローキーな感じになったが、背景の茶色の布がまだ明るく、器ではなく背景にも視線が行ってしまう。

アクセント光を加えたもの

左の作例に対して、フラッシュとレフ板によるバウンス光をアクセント光として加えたもの。器の輪郭や質感が立ってくるので、背景に負けない存在感を放つようになる。

写真・文:関川真佐夫


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