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表現編 パンの質感と夜の雰囲気、両方を表現する

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 レストランやパーティーを想像させるような夜の食材撮影。
パンを題材に、その質感と夜の雰囲気の両方を表現するライティングを探る。
 

■質感も表現できる「少しだけ柔らかめ」のライティングを選ぶ

逆光で撮影

パンの奥から読書灯のライトを直射して撮影したもの。パンの質感は表現できるが、影が強すぎて、ゆっくりした夜の雰囲気は伝わりにくい。

サイドからの反射光で撮影

パンの左側に配したレフ板に読書灯を当て、その反射光で撮影した。パンの質感が適度に表現されると同時に、夜のゆっくりした雰囲気も伝わってくる。
 
 多くの料理は自然光で撮影したほうが室内灯で撮るよりも美味しそうに見える。理由は、自然光のほうが正確な色になるためと、室内灯は天井からまんべんなく照らされるので立体感が損なわれてしまうため。夜に撮影した料理は、奥行き感がなく色もくすむために、美味しそうに見えないことが多い。それでは夜に撮れないかというと、そうでもない。無理に昼間のような色を目指さないで、夜ならではの魅力を表現してみてもいい。
 作例のパンは、タングステン(電球色)の読書灯を使って撮ったもの。天井からの蛍光灯は消している。世の中の食品には、ほとんど青い色のものはない。食欲を増進させる色は黄色などの暖色系で、青などの寒色系ではない。それゆえに、ほとんどのレストランが、キャンドルやタングステンなどの黄色い照明を使用している。
 ここでは、読書灯の当て方をいろいろ変えて表現を探ってみた。日中の場合は「堅いパンには硬い光」を推奨したが、タングステンで表現されるアンバーな色あいの写真には、硬い光はあまり向いていないようだ。上左は読書灯を逆光で直接当てているが、これだと夜のゆっくりした雰囲気が伝わりにくい。一方、上右はパンの左側にレフ板を立て、レフ板に読書灯の光を当てて反射光を使って撮影したものだが、こちらのほうが夜のゆっくりした雰囲気が感じられる。どちらが好ましいかと問われれば、多くの人は上右と答えるのではないだろうか。
 他に試したバリエーションが下の2つだ。下左は逆光だがパンの右にレフ板を立てて暗い部分を明るく起こした。多少影が強いが、これくらいであればパンの質感と同時に夜の雰囲気も伝わりやすいだろう。下右は、パンの上に配したレフ板に読書灯を当て、その反射光を利用したもの。光が回りすぎているために、明暗差が少なく立体感に乏しい。
 さて、読書灯を使うポイントは、逆光にしろ、サイドに立てたレフ板による反射光を利用するにしろ、読書灯の高さをあまり上げすぎないことだ。なぜなら、低い位置から逆光にすることで立体感を表現できるから。さらに、読書灯と被写体との距離を近づければ影は強くなり、離せば影は弱くなる。またホワイトバランスは、アンバー色を再現するために「オート」にせず「晴天」や「太陽光」を利用する。「オート」だとアンバー色が再現されないことがあるからだ。
 そして、三脚はマストアイテム。読書灯は光量が不足するのでスローシャッターになり手ブレが生じるから。デジタルカメラなら、その場でISO感度を上げる方法もあるが、やはりノイズが気になる。夜のデリケートな雰囲気を伝えるには低ISO感度でしっかりとした質感と雰囲気を描写したい。そのためにはしっかりした三脚が必要だし、さらにリモコンやセルフタイマーを利用するなどして、手ぶれを防ぎたい。以上のことに気をつけて夜の雰囲気をうまく表現してみよう。

逆光+レフ板で撮影

逆光にレフ板を加えたことで、きつい影の印象が弱まる。これくらいの影なら夜の雰囲気がくずれることもない。

上方からの反射光で撮影

上に配したレフ板に読書灯のライトを当て、その反射光を利用して撮影したもの。フラットすぎてパンの質感の表現に乏しい。
 
 

写真・文:関川真佐夫


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