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表現編 前ぼけを使って雰囲気や遠近感を出す

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 一般的なポートレート撮影ではモデルを引き立てるために背景ぼけを使う。しかし、状況や表現によっては前ぼけが写真の雰囲気を高めることもある。さまざまなぼけを利用した写真表現を探ってみよう。
 

■遠近感の表現やアクセントになる前ぼけ

前ぼけ表現なし

一般的なポートレート写真。前に何かを配置するということはせず、ストレートにモデルを撮った。

前ぼけ表現あり

モデルの手前に花をぼかして写し込み、一般的なポートレート写真とは異なるさらにやわらかい雰囲気を狙った。

 写真は本来、3次元の世界にあるものを2次元に置き換えている。そのために、立体感や遠近感が失われがちになる。立体感や遠近感の消失は写真を凡庸な印象にすることがあるので注意したい。ポートレート撮影の場合、立体感や遠近感を演出するための「前ぼけ」という方法がある。通常ポートレート写真を撮るときは、モデルの前には何も写り込まない状態にすることが多いが、あえて何かを配置し、さらにそれをぼかして撮ってみる手法だ。
 作例の左側は通常の撮影方法で撮ったもの。これに比べて右の作例では、モデルの前にわざと花をぼかして写し込んでいる。このことで画面全体に奥行き感や距離感を表現できる。また前ぼけは、ソフトフォーカスのように写真全体がやわらかい印象になるので、女性ポートレートでは機会があれば活用してみたい。
 前ぼけを上手に活かすコツは、広角レンズよりも望遠系のレンズを使い、絞りを開けること。さらに、カメラとぼかすもの(この場合は花)との距離は近くにし、反対にモデルと花の距離は離すとぼけが大きくなる。この場合の花は、手を伸ばせば届くぐらいの距離でもよい。花がモデルに近いとぼけは大きくならず、画面をうるさくするだけに終わる。そうならないよう、前の物体を効果的にぼかすことが重要だ。
 モデルを撮る場合、背景をぼかしてモデルを引き立てることが多いが、状況や表現によって前ぼけを入れ込んでみると、写真の見え方も変わってくる。その場にあるものだけでなく、小物を使って前ぼけを利用してもいい。カメラとモデルの距離、そして前ぼけの物体との距離を変えながら、さまざまな前ぼけ表現を試してみたい。

写真・文:関川真佐夫
モデル:坂本茉奈美 (magna)


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