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表現編 「背景」で変わる写真のイメージ

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 街中でポートレート写真を撮る場合、人物重視か、街の雰囲気重視かで 背景の選び方や処理の仕方が変わってくる。どんなイメージの写真に仕上げたいのか、ある程度イメージを持って撮影に臨みたい。
 

■「人を撮る」場合は、背景をすっきりと

うるさい背景

モデルだけでなく背景の人物も比較的はっきり写っているため、全体にうるさく感じられる。

スッキリした背景

人通りの少ない小道を背景に選んでも寂しく感じられないよう、露出をオーバーめにして撮った。
 
 賑やかな街のストリートでポートレート撮影をする場合は、背景を整理するか、それとも街の雰囲気を活かすか、どちからになるだろう。つまり、「人を撮る」のか「街中の人を撮る」かの違いだ。それによって背景の選び方は大きく異なってくる。ここでは背景の「ぼけ」ではなく(「もっと背景をぼかしたい」を参照)「背景」そのものに着目して、写真イメージの変化を見てみよう。
 「人を撮る」ことが目的の場合、通行人などが多く写り込む背景にすると、背景がうるさくモデルが目立たなくなってしまう。 モデルも背景もどちらも主役にならない写真だ。では、モデルが真っ先に目に飛び込んでくるような写真にするにはどうするか。
 人通りの多い繁華街であっても、裏通りや小道など、よく探せば必ず人の少ない場所がある。そんな場所を探してモデルを立たせれば、スッキリとした背景で人物主体の写真を撮ることができるはずだ。もちろん人通りが少なくなるまで待ってもいい。 さらに、絞りを開ければ背景がぼけ気味になって、整理しやすくなる。
 ただし、街中の雰囲気が全く伝わってこない背景を選ぶのは逆に考もの。人が少なくても街の賑わいが伝わってくるような背景を選んだり、寂しい背景でも露出をオーバーめにして明るい雰囲気にしたりするなど、撮影時の工夫も時には必要となる。

■「街中の人を撮る」場合は、雰囲気の演出を心がける

小道具があってもさびしい写真

「街中の人を撮る」場合は、やはり街並みや人が写る賑やかな背景を取り入れた方がいい。

賑わう街と楽しい気持ちが伝わる写真

街の賑わいと楽しげな人物、両方の雰囲気が伝わる。モデルの動きがポイントだ。
 
 では「街中の人を撮る」場合はどうするか。さまざまなシチュエーションが想定されるが、単に背景に街並みや人を写し入れるというだけではおもしろくない。たとえば小道具をあしらうなどして「モデルが街に埋もれすぎない」ような演出や工夫を考えるのもいい。ここでは、モデルにソフトクリームを持ってもらうことで、「デートのひとコマ」といったイメージを演出してみた。
 しかしソフトクリームを持ってもらっても背景がシンプルだと、むしろ中途半端で寂しい印象になる。「街中の人を撮る」場合は、やはりある程度街並みや人が写り込んでいることが必要だ。ただ、背景に負けない工夫として、上右の写真は今まさにソフトクリームを食べようとしている動きのある瞬間を狙った。モデルの動きと街の喧噪、それぞれの相乗効果で人物主体ながら賑わいのある街の写真となった。

写真・文:関川真佐夫
モデル:坂本茉奈美 (magna)


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