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表現編 もっと背景をぼかしたい

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 ポートレート写真で背景が写りすぎていると、画面全体がゴチャゴチャして、ポートレート写真の雰囲気がでないことがある。背景を大きくぼかしてモデルをクローズアップするには、開放F値の明るい単焦点レンズを使うと効果的だ。
 

■背景ぼけの違い 開放絞りの異なる【ズームレンズ】と【単焦点レンズ】

ズームレンズを開放絞りで使用

F4.0通しの24-105mmレンズを使い開放絞りで撮影。背景は適度にぼけているが、下の単焦点レンズで撮影した写真と比べると、ぼけの効果は弱い。
 

単焦点レンズを開放絞りで使用

開放絞りがF1.8の85mm単焦点レンズで撮影。開放絞り値が小さくなるほど、ぼけは大きくなり、モデルが引き立って写る。ただ、被写界深度が極端に浅くなるので厳密なピント合わせが必要だ。

 ピントの合っていないアウトフォーカス部を大きくぼかせることは、一眼レフカメラで撮る楽しみのひとつだ。ぼけを活かすことで被写体を引き立たせたり、あるいはぼけ活かした効果的な表現が可能になる。
 ぼけの量はレンズの焦点距離と絞り値、そして被写体との距離などの組み合わせで決まる。ポートレート撮影をする時に背景を大きくぼかすには、カメラと人物の距離は近く、人物と背景の距離は離すようにする。人物とその背景(たとえば壁面)との距離が近いと、背景をぼかすことは難しい。そしてなるべく開放F値の明るい望遠レンズを使うと、より大きなぼけが得られる。ここでは開放F値の違いによる、ぼけの大きさの違いを確認してほしい。
 一般にズームレンズの開放F値は単焦点レンズの開放F値より大きい。普及クラスの望遠ズームレンズだとF4.5~F5.6などが一般的だ。絞り値の変わらない比較的高価なズームレンズであってもF4.0とかF2.8程度に止まる。一方の単焦点レンズは、普及クラスであってもF1.4やF1.8、F2.0といったものが揃う。同じ焦点距離で撮影し、大きなぼけを得たいならばズームレンズよりも単焦点レンズのほうが効果的だ。
 作例は、開放絞りがF4.0通しのズームレンズと、開放絞りがF1.8の単焦点レンズを使って撮ったもの。ズームレンズの焦点距離は単焦点レンズの85mmになるべく合わせ、被写体がほぼ同じ大きさに写る距離で撮影した。両者を見ると、背景のぼけの違いは一目瞭然だ。ぼかしたいなら明るい単焦点レンズを使う、これは基本中の基本と言えるだろう。
 1本で数本分の焦点距離をカバーするズームレンズは便利ではあるが、開放F値を小さくして明るくしようとすると大口径になって大きく重くなり、そして高価になっていく。単焦点レンズはズームレンズと比べれば軽量で、コンパクトに設計しやすく、開放F値も明るくできる。背景をぼかして人物を引き立てたいなら、やはり単焦点レンズを使うと効果的だ。
 気をつけたいのは、F1.4やF1.8などの明るいレンズは被写界深度が非常に浅く、ピンボケしやすいこと。撮った画像がほとんどピンボケだったということにならないよう、三脚を用いてカメラを安定させたり、ピントをわずかにずらしたショットを何枚か撮っておくなどして、ピンボケ対策を行っておこう。もちろん、デジタルカメラの場合は、撮影後に画像を拡大して確認しておきたい。

写真・文:関川真佐夫
モデル:坂本茉奈美 (magna)


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