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表現編 動感を表現する

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 躍動感や臨場感を伝えるのに効果的な手法が、ブレを写し込むことだ。画面全体をぶらす方法もあるが、ここでは被写体と背景に分けて考える。被写体と背景、いずれかをぶらすことで写真の表現力やおもしろさが増してくる。
 

■被写体ブレを利用して躍動感を強調する

シャッタースピードを速くし静止させた

モデルがジャンプの頂上に来るのを狙いシャッターを切った。シャッタースピードは1/320秒。静止しているがモデルが宙に浮いており、これも一種の動感を表す表現だ。

シャッタースピードを遅くし動感を出す

ジャンプ中のブレを表現するため、シャッタースピードを遅く(1/30秒)して撮影。さらに動感を強調するため、モデルにはジャンプ中に手足を動かしてもらた。
 
 写真表現においてシャッター速度を決める要因は大きく2つ。1つは手ブレを防ぐためになるべく速いシャッタースピードにする。もう1つはわざと被写体をぶらすために遅いシャッタースピードに設定する。
 これまで手ブレを防ぐには「レンズの焦点距離分の1秒」以上のシャッタースピードにすると言われたものだ。しかし、デジタルカメラでは多画素化によりセンサーの画素ピッチが狭まったことで、従来のセオリー以上に、より速いシャッタースピードでないと手ブレを防ぎにくくなっている。
 それはさておき、動感を表現するためのブレとしてよく知られているのは自動車や電車の「流し撮り」だろう。被写体はハッキリ見えるのに、背景がぶれている。そのブレによって動感が伝わる。ここでは、敢えてブレを生じさせるべくモデルにジャンプしてもらい、なるべくスローシャッターにして躍動感にあふれる写真を狙った。また、スローシャッターでカメラがブレるの防ぐため、三脚を使用している。
 ジャンプする場合、ジャンプの頂上では一瞬動きが止まるので、静止した状態を写したい場合は、そのチャンスを狙うといい。
もちろん、シャッタースピードは十分に速くなくてはならない。静止している方の作例のシャッタースピードは1/320秒だ。ちなみに、シャッタースピードをコントロールしたい場合は、露出モードはシャッタースピード優先かマニュアル露出を選択する。作例はどちらもマニュアル露出で撮っている。
 一方、被写体をぶらす場合は、シャッタースピードを遅くすればいい。ブラした方の作例は、ジャンプ中にモデルに手足を動かしてもらい、動感をさらに強調している。シャッタースピードは1/30秒だ。なお、日中の晴天では明るすぎるので、絞りを絞り込むとか、減光するNDフィルターを使うなどして対処しよう。作例では絞りをf20まで絞っている。 ちなみに、このような写真は、プロでもそう思うように狙いどおりのポーズや瞬間が撮れるわけではない。適格なタイミングを見極めつつ、連写モードにしてたくさん撮るのがコツだ。

■写真が放つ臨場感やストーリーをブレで演出する

背景を静止させる

シャッタースピードは1/100秒。電車の速度が遅いので、このシャッタースピードでも背景が止まって見える。
 

背景をぶらす

シャッタースピードは1/30秒。背景がぶれることで、臨場感が増し、写真にストーリーが生まれる。
 
 こちらの作例は電車の中で撮ったもの。やはりシャッタースピードの違いで背景を静止させたり、ぶらしたりしたものだ。これらを見ると、似たようなシーンなのに、見る側が受け取る印象はずいぶんと異なる。
 静止している方は、きれいではあるが、一般的な写真表現に止まる。背景をぶらした方は、例えば旅をしている途中の臨場感が伝わり、見る人にストーリーをより想像させやすい。
 ただ、このような撮影では手持ちでスローシャッターを切るので、カメラブレと被写体ブレの両方が起きやすい。ぶれている作例のシャッタースピードは1/30秒で、手ブレや被写体ブレが、起きるかどうかギリギリのところ。
 このようなシーンでは、手ブレ補正機能を持つカメラやレンズがあると心強い。積極的に被写体ブレを演出した写真に取り組むことができる。
 
 作例写真のメイキングムービー
 画像をクリックすると動画が再生されます。

写真・文:関川真佐夫
モデル:坂本茉奈美 (magna)


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