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構図編 縦位置構図と横位置構図の選び方

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 写真の縦横比が異なる場合、縦位置構図で撮るのか、横位置構図で撮るのかは、何をどう表現したいかで選ぶべき。ただ、実際の撮影現場で判断が難しい場合は、縦位置と横位置、両方を押さえておくといい。
 

■縦位置構図と横位置構図の印象の違い(その1)

縦位置構図で撮影

電車内での撮影。モデルがメインモチーフとなり、背景の海や車内の様子がサブ的な要素となる。
 

横位置構図で撮影

上のシーンを横位置に変えたもの。モデル、背景の海、車内といった複数の要素が説明的に写される。
 
 人間の2つの目は横に並んでいるので、横に広がる構図は安心感や安定感を得やすい。実際、ほとんどのカメラが横位置での構図を基準にしている(6×6フォーマットなどを除く)。
 人物や風景、モノなどを横位置で撮ると、安心感や安定感に加えて、客観的な印象も与える。ここで言う客観的とは、「説明的」とか「記録的」と言い換えてもいい。横位置での撮影は、撮影現場の状況を伝えるのに適した構図とも言えるだろう。
 一方、縦位置の構図は、横位置の安心・安定に対して、鑑賞者に「臨場感」や「奥行き感」も覚えさせる。縦位置は、撮影者が何に注目しているかを伝えやすい構図だ。そのような意味で、客観的な横位置、主観的な縦位置と言うことができるだろう。
 伝統的な絵画に目を向けると、風景は横位置、肖像画は縦位置で描かれることが多いが、そのような構図の決め方は写真にも引き継がれている。それを了解した上で、また撮影現場の状況も考慮しつつ、自分が表現したいイメージは、縦位置と横位置のどちらが適するかを判断しよう。迷ったら両方撮っておくのもいい。
 ここで取り上げた作例は人物のポートレート写真だが、構図内に全身を入れると人物が小さくなってしまう。無理に全身を入れるよりも、ポーズとの兼ね合いで、ウエストやバストから上を構図に収めるようにしてバランスをとっている。

■縦位置構図と横位置構図の印象の違い(その2)

縦位置構図で撮影

横向きに座ってもらい、説明的になる全身ではなく腰から上を構図に入れた。やはり横位置の構図よりは人物が主体になる。
 

横位置構図で撮影

説明的な横位置の構図の場合で、ある程度人物を主張しようとするなら、バストアップかそれ以上に、人物の占める割合を大きくしたい。
 
 こちらの作例は、「その1」よりも引いたカットで、人物が小さく写っている。その分、背景も多く映し出されるが、それでもやはり縦位置の方が人物がフィーチャーされるし、横位置は状況説明的な写真に見える。
 この縦位置の写真は、人物を中心から少しずらしているが、こうすることで奥行き感を演出できる。もし人物だけを強調したいのであれば、頭部を中央に配置するといい。ただその場合は証明写真のようになるため、背景はあまり意味を持たなくなる。人物をフィーチャーする縦位置構図ではあるが、人物を配置する位置によってもその効果は変わってくる。
 状況説明的になりがちな横位置の写真だが、掲載している横位置構図の作例は、全身ではなく上半身を写すことで写真に人物が占める割合を多くし、あまり説明的にならないように配慮したものだ。気をつけたのは、縦位置写真同様、人物を中心からずらして配置したこと。人物を中央に配置すると記念写真のように記録写真的になるが、中央からずらすことで広がり感を強調し、撮影者の意図を表現することができる。
 なお、人物をどちらにずらすかは、顔や身体が向いている方向に空間を作るのが基本的な考え方だ。これについては「被写体の向きと空間」を参照のこと。

写真・文:関川真佐夫
モデル:坂本茉奈美 (magna)


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