「日本銀行の黒田東彦総裁が、新型コロナによる経済危機でお金を大量に刷り、債券やETFを買っている。黒田総裁が買うから私もETFを買う。私は日銀がやっていることをまねしているだけだ」

 確かにETF市場を探ると、日本の株式市場全体を含めて「主役」の一角は、もう何年も日銀が務めていることがわかる。ニッセイ基礎研究所の井出真吾上席研究員が言う。

「日銀は2010年から日本株ETFを買い始め、一貫して買う量を増やし続けています。13年に黒田総裁の異次元緩和が始まると、同年の年間1兆円から14年に3兆円、16年に6兆円、そして今年コロナ危機で3月に12兆円まで枠を増やしました」

 今や日銀が購入したETFは時価で39兆円にまで達している。なぜ、日銀はここまでETFを買い続けるのか。

「日銀は金融緩和の一環と言っていますが、市場では株価の下支え策と受け止められています。量が増え続けているのは、マーケットは日銀の『買い』にすぐなれっこになってしまうからです。量を増やさないと株価下支えの『効き目』が切れてしまうのです。一種の中毒といっていいでしょう」(井出上席研究員)

 ETFも投資信託だから、その背後には現物株の裏付けがある。日銀から買いが入ると運用会社は新たなETFを組成するために市場からの現物買いに走る。投資家は、日銀の買いで価格が上がったETFと現物の価格差からの鞘取りを狙って現物買いに走る。このように、日銀がETFを買うと、さまざまなルートで現物株に買いが入るから株価が上がるのだ。

 そのかいあって、コロナでの3月の暴落を除いては株価は上昇基調を保っている。日銀のETF買いは、止めてしまえば株価が維持できなくなる恐れがある。

「だから、もはや簡単に止めることは不可能なレベルになっています」(同)

 ジム氏も、こうした流れを見越しているのだろうが、では、なぜジム氏は日銀のまねをすれば儲かると思っているのか。

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