
1990年代に大人気を博した「美少女戦士セーラームーン」。その最新作・劇場版「美少女戦士セーラームーンEternal」が公開される。子ども時代に漫画やアニメを楽しんだファンたちは、いまはもう大人。ファンを長年惹きつけるものは何だろうか。AERA 2021年1月11日号に掲載された記事を紹介する。
* * *
「月にかわっておしおきよ!」
という、主人公のセーラームーン・月野うさぎの決め台詞と、変身ポーズを覚えている方も多いだろう。
「美少女戦士セーラームーン」は、1990年代に一世を風靡した、少女たちが美少女戦士に変身し力を合わせ、敵に立ち向かう物語だ。戦隊ものと言えば「男の子のもの」だった時代に、女の子だけの戦隊を登場させ風穴を開けた作品だ。女子ばかりでなく男子や大人のファンも獲得し、国民的な人気を得た。
その国民的アニメが、劇場映画としては25年ぶりに帰ってくる。最新作の劇場版「美少女戦士セーラームーンEternal」は、セーラー戦士たちが、地球と月の征服をもくろむ敵デッド・ムーンに立ち向かうストーリー。登場人物がそれぞれ抱える悩みや孤独も描かれる。子どもだけでなく、大人になったファンにも見応えのある内容だ。
「今回キャラクターデザインを手掛けるのは、90年代のテレビアニメシリーズでもキャラクターデザイン・作画監督を務めた只野和子さん。なつかしさを感じる人も多いでしょう。90年代のアニメ当時、只野さんのデザインは、原作の武内直子さんの世界観とうまく合致し化学反応が起きました。今回の劇場版は、只野さんのキャラクターデザインに最新技術を駆使した映像が加わり、昔からのファンの方も、新しく観る方にも楽しんでいただける作品になりました」
そう話すのは、連載スタート時からの担当編集者で、「おさBU」の愛称で知られる講談社の小佐野文雄さん。小佐野さんは作品に「普遍性」があるから、長く愛されるのだろうと言う。
■ファンが魅力発信側に
「武内さんは古今東西の美術作品にも精通していて、それらの作品の普遍的な魅力をよく理解していました。その上でキャラクター設定や小物のデザインに取り組んでいたので、ただかわいいだけではなく普遍性を持たせることができたのではないでしょうか。また、『美少女戦士セーラームーン』は恋愛のことなど、当時の武内さんの心情がストレートに描かれてもいます。読者が成長し大人になって読み直しても、『発見がある』と言ってくれるのは嬉しいですね」(小佐野さん)
(ライター・矢内裕子)
※AERA 2021年1月11日号より抜粋