2013年2月、小児がん拠点病院(全国15施設)を選定した「小児がん拠点病院の指定に関する検討会」。その構成員の一人として選定に携わった杏林大学病院小児科外科教授の韮澤融司(にらさわ・ゆうじ)医師に、小児がん治療の現状と今後の課題について聞いた。
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小児がんは、年間に2000~2500人が発症すると言われていますが、一つひとつの疾患の患者数が極めて少ないのが特徴です。なかでも大きく分けると血液腫瘍と脳腫瘍と胸部・腹部・頸部(けいぶ)などの固形がんが多い疾患ということになりますが、それらも一つの病院で治療する数はごく限られています。そこで、以前から症例の集約化が言われてきました。今回の小児がん拠点病院の指定により、ようやくその一歩を踏み出したことになります。
医師、社会福祉、患者サイドなどの各専門家が集まり、議論を重ねた結果、応募のあった病院を精査して、血液腫瘍、固形がんの治療数がそれぞれ年間10例以上、専門的な医師の充実度、再発、難症例の治療の多さ、緩和ケア治療の実施体制、家族のための長期滞在施設の充実度などの基準に照らして、最終的には構成員の点数評価により点数の多い順に15施設が選ばれました。
今後は、小児がん拠点病院を中心に地域における協力病院との連携やネットワーク作りが大切です。
※週刊朝日 2013年4月5日号
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