ロシアのウクライナに対するいわれのない戦争の恐怖の中、キーウの防空壕で少女がディズニー映画『アナと雪の女王』の劇中歌「レット・イット・ゴー」を歌う動画が話題になり、この曲のオリジナル・シンガーであるイディナ・メンゼルをはじめとする世界の注目を集めている。
母親の許可を得て収録されたとされる、アメリアという少女の感動的な映像は、週末に投稿されて以来何百万回も共有されており、ロシア軍からの執拗な爆撃にまた一週間耐えるウクライナの人々の回復力と不屈の精神の証となっている。
この動画では、コンクリートのシェルターでほかの避難者たちに囲まれながら、少女が感動的なバラードをウクライナ語で歌い上げており、聴衆がその歌声に無言でうっとりと聞き入り、最後には「ブラボー、ブラボー!」と拍手している。
米版『アナと雪の女王』のエルサ役で、【アカデミー賞】受賞曲である「レット・イット・ゴー」を録音したイディナ・メンゼルは、このビデオをシェアしながら、「私たちにはあなたが見えています。本当に、本当に見えています」と、ウクライナ国旗の色にちなんだ青と黄色のハートの絵文字を添えてツイートしている。また、『アナと雪の女王』のオリジナル歌曲を担当したロバート・ロペスとクリステン・アンダーソン=ロペスが、「レット・イット・ゴー」以前にエルサのために書いたというアンチ・ラブソング「Cool With Me」のインスピレーションを与えたシンガー・ソングライターのサラ・バレリスも、「オー・マイ・ハート(心が…)」と投稿した。
動画を最初にFacebookに投稿したMarta Smekhovaは、「彼女は絵を描くこと以外にも、歌うことが好きだと言っていた。そして、大きなステージで観客の前で歌いたいという夢をこそっと語ってくれた。防空壕での最初の言葉から完全な沈黙が訪れた……誰もが自分の作業を中断し、ただ光を放っているこの少女の歌を聴いた……男性でさえ涙をこらえることができなかった……アメリアは本当にこれを望んでいた…… 私はこの動画をウクライナのさまざまな都市の人々に見せ、世界のさまざまな地域の外国人が見てくれた!」と綴っている。
彼女はさらにロシア兵に対し、「ロシア人よ、見なさい、お前たちが誰と戦っているのかを!民間人を相手に戦い、無防備な子どもたちから子ども時代を奪うのは臆病者だけだ!お前たちは自分の子どもたちにシチュー(を食べさせ)、大砲の餌食にしている。我々の子どもたちは光を放ち、むき出しの暗い地下室でも瞬きすることなく、さらに明るく点火している!」と、強い言葉で怒りを表現している。民間施設の空爆などにより、現時点で100万人以上のウクライナ人が祖国を追われている。
「レット・イット・ゴー」は、米ビルボード・ソング・チャート“Hot 100”で5位まで上昇した。ディズニーは2014年に、ウクライナ語やロシア語も含む42曲の海外バージョンが収録されたコンピレーション・アルバム『Let It Go: The Complete Set』をリリースしている。