監督 アスガー・ファルハディ/Bunkamuraル・シネマほか全国順次公開中/127分 (c) 2021 Memento Production ― Asghar Farhadi Production ― ARTE France Cinema
監督 アスガー・ファルハディ/Bunkamuraル・シネマほか全国順次公開中/127分 (c) 2021 Memento Production ― Asghar Farhadi Production ― ARTE France Cinema
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 数々の国際映画賞を受賞し、「別離」「セールスマン」で2度のアカデミー賞外国語映画賞を受賞したイランが誇る世界の巨匠アスガー・ファルハディ。本作は第74回カンヌ国際映画祭のグランプリを受賞した話題作「英雄の証明」。

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 イランの古都シラーズ。ラヒム(アミル・ジャディディ)は借金の罪で投獄され服役している。そんな彼の婚約者(サハル・ゴルデュースト)が偶然にも大量の金貨を拾う。借金を返済すれば出所できる彼にとって、それは神からの贈り物のように思えた。しかし罪悪感に苛まれたラヒムは、それを落とし主に返すことを決意。そのささやかな善行は、メディアに大々的に取り上げられ、ラヒムは“正直者の囚人”と英雄に祭り上げられる。

 ところが、SNSを介して広まったある噂をきっかけに状況は一変。周囲の喧騒に翻弄され、父親を信じる無垢な吃音症の幼い息子(サレー・カリマイ)をも残酷に巻き込んだ大事件へと発展していくのだった──。

監督 アスガー・ファルハディ/Bunkamuraル・シネマほか全国順次公開中/127分 (c) 2021 Memento Production ― Asghar Farhadi Production ― ARTE France Cinema
監督 アスガー・ファルハディ/Bunkamuraル・シネマほか全国順次公開中/127分 (c) 2021 Memento Production ― Asghar Farhadi Production ― ARTE France Cinema

本作に対する映画評論家らの意見は?(★4つで満点)

■渡辺祥子(映画評論家)
評価:★★★★
どうすれば良かったのか?と悩む「子供をさらし者にした」と吃音者の息子を連れた行動を責められる父親。刑務所入りしても拾得物を持ち主に返すなど悪人にはなれない父親に待つ結末が、イラン映画らしさなのだろうか。

■大場正明(映画評論家)
評価:★★★★
直に告白したことが巡り巡って自分の首を絞める。善意の提案を受け入れたことが状況を悪化させる。緻密な構成が生む負のスパイラルを通して、価値観がせめぎ合うイラン社会と個人の関係が浮き彫りにされている。

■LiLiCo(映画コメンテーター)
評価:★★★★
イランの日常の香りまでも伝えられるファルハディ。一人の男がどんどん変化していく様、そして彼の周りの人たちも。展開にドキドキしながら、観ているこっちの感情もこの人間ドラマ溢れるサスペンスによって変化する。

■わたなべりんたろう(映画ライター)
評価:★★★★
イラン映画でソーシャルメディアによる噂の拡散を描くので、どうなるかと思ったら、さすがアスガー・ファルハディ。現代のネット社会の悪意の使い方を十二分に映し出している。冷徹な視線が導くラストに戦慄。

(構成/長沢明[+code])

週刊朝日  2022年4月15日号

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