鴻上尚史さん(撮影/写真部・小山幸佑)
鴻上尚史さん(撮影/写真部・小山幸佑)

 知的障害の子供2人の子育てに疲労困憊し、息子を施設に預けた後ろめたさを吐露する33歳女性。今後どうしたらいいのかと惑う相談者に、鴻上尚史が語りかけた「一番大切なこと」とは?

【相談147】知的障害の子供たちを育てながら、何処に行っても他の子との差を見せつけられます(33歳 女性 チロル)

 知的障害の子供たち(4歳男児・重度、1歳女児・中度)は2人とも生活の全てに、全介助が必要です。

 保育園に入っていますがそれでも親に余裕はありません。朝から晩までイライラして怒鳴っています。

 息子は体幹が弱く着替えさせている間ふらつくので「真っ直ぐ立てないの!?」。家を出ようとすると靴を左右逆に履いており「逆!」と言っても直さず。「何でもママにやらせる気なの!?」と怒鳴りながら履き替えさせています。

 新年度になって保育園の支度でやることが増えました。園帽子を被せて、マスクをつけて、名札をつけて……全部こちらがやっています。

 息子の世話で手一杯で、娘は必要な世話をしてほぼ放置状態。療育に通わせるも軽度~中度だった知能指数が重度に転落し、療育でも何もできないのは息子だけ。何処に行っても他の子との差を見せつけられます。

 比べるな、と言われても無理な話。保育園や療育の先生に相談した事はありましたが「息子君は成長がゆっくりで……」とか「息子君なりのスピードで成長しています」とテンプレートな返しで、それ以来誰にも相談できていません。

 最近は手が出て「死ね」「施設に入れ」とまた怒鳴りました。翌日児相(児童相談所)に電話をしました。普段は、人前では良い母親のように振舞おうとしていますが、本当に助けて欲しくて、あった事を全て話しました。

 今息子は一時保護されています。近々、今後について児相の方と話し合う予定です。やはり自分の子供なので可愛いという想いもあれば、戻って来て欲しくないとも思います。息子が抜けた今、娘を育てる事ができている気がするし、私自身、時間的にも精神的にも余裕が出てきています。それまでの無気力な状態から脱しつつあるように感じます。

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「今後どうしたいのか自分でも分かりません」