太陽系の惑星を、脳内で観光してみませんか? 今回訪れるのは、木星・土星・天王星・海王星。ガスや氷でできた惑星じゃ着陸できなそう…なんて心配はご無用です。妄想の中では、命懸けの冒険やセレブ体験も思いのまま♪ あの星で見られる(かもしれない)景勝地や、体験できる(かもしれない)アクティビティをたっぷりご紹介します。個性豊かな衛星ツアーも見どころですよ。

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木星/マーブル模様を体験、高速な1日、衛星めぐり!太陽系の縮図を楽しもう

地球より2つ外側、太陽系で5番目の位置をまわっている巨大な惑星です。

太陽から遠いので、気候は寒いです。また、1日の長さは10時間弱。

到着すると、目の前に広がるマーブル模様のパノラマ! 神秘的で心癒される風景ですね。しかしその美しい模様をつくっているのは、表面を高速で流れる雲のようです。木星は、ほぼ嵐でできている惑星。強風はさまざまな方向に吹き荒れます。地球が2〜3個入るくらい大きな赤いうず「大赤斑」や、極に現れるオーロラも見どころです。

木星は、「太陽になり損ねた星」と呼ばれるほど巨大でパワフルな星。60個以上もの多様な衛星がまわり、太陽系の縮図ともいわれています。衛星めぐりは、木星旅行のハイライト! とくに「ガリレオ衛星」として知られるイオ、エウロパ、ガニメデ、カリストにはぜひ立ち寄りたいですね。

土星/足元にも嵐、輪っかの氷でドリンクを!衛星ツアーで懐かしい景色に涙!?

木星のとなりを回っている、大きな環が特徴の惑星です。

太陽系の惑星のなかでは木星の次に大きいのですが、ほとんど雲でできているので中身はスカスカ。もし水に入れたら浮かんでしまうくらいなのだそうです。すさまじい風で、地面がないため足元に嵐が吹くことも! 木星と同じように、雲が東向き・西向きのゾーンに分かれて流れる縞模様もあります。また1日の長さは、木星なみの10時間40分です。

さあ、いよいよあの輪っかを近くで見るチャンス! 上に乗れそうにも見えますが、近づいてみると、それは1000本以上の細い輪でできていて隙間もあるようです。それもひとつながりではなく、さまざまなサイズの岩石や氷のかけらの集まりだったとは…。そして残念なことに、この環はいずれなくなってしまうともいわれています。訪れた際には、ぜひ漂う氷を浮かべたドリンクなども味わってみたいですね。

土星に行ったらぜひ訪れたいのが、衛星タイタンです。濃い大気圏があり、メタンの霧雨が降っています。そしてなんと、それらが流れる川や湖があるのです! 液体が流れる風景は、地球以外ではおそらくここだけでしか見られないでしょう。地球と似たような景色に、胸がきゅんとしてしまうかもしれませんね。

天王星/ブルーの謎、環を浮遊、つぎはぎ衛星ツアー!横だおしの氷惑星を満喫

太陽系の7番目をまわる、ブルーの大きな星です。

驚くことに、横倒しになってまわっています。かつて大きな星がぶつかってきて地軸が倒れてしまったのでは…とも考えられています。じつは天王星にも細くて目立たない輪が10本くらいあるのですが、これはその衝突時の星のかけらでできているという説も。かけらたちと一緒にしばし漂い、輪の一部になってみるのもおすすめです。

海のようにきれいなブルーは、メタンの雲に太陽の赤い光が吸収されるため青く見えるのだそうです。天王星は「巨大氷惑星(アイスジャイアント)」と呼ばれ、上方の雲の中では、水やメタンの氷の粒が一面にキラキラ輝く氷の世界! 浮遊飛行船に乗って美しい景色を楽しんだり、極付近では幻想的なオーロラが見られるかもしれません。

天王星には個性的な衛星が多いので、ぜひ行ってみましょう。なかでもミランダは「過去に粉々にされて再びつなぎ合わされた」ともいわれる謎めいた星。カクカクしたつぎはぎだらけ・穴だらけの奇妙な地形が見どころですよ。

天王星の1日の長さは約17時間ですが、横倒しでまわっているため、一方の面で昼が42年間続き、もう一方で夜が42年間続きます。昼と夜のエリアを計画的に行き来するのもあり。また天王星は、太陽からさらに離れている海王星よりも寒くなることがあります。防寒対策が必要そうですね。

海王星/深い青、未知の強風、ダイヤモンドの雨⁉︎衛星から眺める最果ての惑星

太陽系の8つの惑星のうち、いちばん太陽から遠い星です。

天王星よりさらに深い青色で、細い輪が5本あります。大きさは天王星と同じくらい、惑星としてもよく似ているため「ふたご星」などと呼ばれたりもします。地球から見るとどちらも小さいけれど、実際は大きな星です。

美しく静かな風情を醸していますが、近づいてみると、海王星には太陽系いちばんといわれる強風が吹いています。ひょっとしたら、黒っぽい「大暗斑」も見られるかもしれません。これは巨大な風のうずで、伸び縮みしたり消えたかと思うと別の場所に現れたりと神出鬼没。 また星の内部では、まわりから押しつぶされてできたという大きなダイヤモンドがゆっくりと降っているようです。濃青の惑星にはロマンがいっぱいです。

海王星最大の衛星トリトンは、なんと−235℃を記録した太陽系でもっとも寒い星。クレーターがないように見えるのは、氷を噴出する火山によって地表が氷で塗り替えられているからなのだそうです。間欠泉や、マスクメロンのような網目模様の地形、長い溝や平原など、観光スポットも充実しています。トリトンは、いずれ海王星の環になってしまうかもしれないそうです。衛星に降り立って、太陽系最果ての惑星の姿をしっかりと眺めておきたいですね。

惑星観光、いかがでしたか? 宇宙開発はまさに日進月歩。行ってみたい星の未来の人気スポットを、妄想旅行でひと足先に楽しんでみてはいかがでしょうか。

<参考サイト・文献>

JAXA

国立天文台

アストロアーツ

『惑星MAPS〜太陽系図絵〜』宇宙兄さんズ(誠文堂新光社)

『太陽系観光旅行読本』オリヴィア・コスキー&ジェイナ・グルセヴィッチ/露久保由美子 訳(原書房)

『宇宙旅行』中川人司 監修(株式会社 G.B.)