
「日本人ファースト」を掲げ、「躍進」が伝えられていた参政党。20日に投開票だった参議院選挙で当初、目標としていた6議席から大幅に伸ばし、15議席程度の獲得が確実な情勢となった。
【写真】参政党の投開票センターは「オレンジ」で埋め尽くされた?
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東京・市ケ谷に設置された開票センターには、167人の報道陣がつめかけ、立ち見もでるほどだった。神谷宗弊代表は投票が締め切られた午後8時、紺のスーツに参政党カラーのオレンジのネクタイ姿で現れた。
大号令で最後の3日間を
引き締まった表情の神谷代表は選挙戦の疲労からか、少しかすれた声で「目標の20議席はなかなか難しいかもしれないけれども、当初予定していた6議席よりは明らかに大きな議席を追いかけるのではないかと手応えを感じています」などと語った。
各種報道では、参政党は選挙区と比例代表を合わせて15議席程度の獲得が確実な情勢になっている。非改選の参政党の議席は1で、改選分とあわせて20議席弱となる見通しだ。神谷代表は選挙中、参院選の目標議席を当初の「6」から「20」に引き上げると表明。予算を伴う法案を提出できる21議席に向けて目標を修正していたが及ばなかった。
それでも神谷代表は「途中から私の発言を切り取られたり、ネガティブに叩かれたりすることが結構あり、党員さんたちの心に火をつけたなと思っております。最後の奮起をすべきだというふうな形で(目標議席を増やす)大号令をかけて最後の3日間を走り抜けた。そんな選挙戦ではありました」と充実した様子で述べた。

選挙期間中、発言に物議はたびたび
午前9時15分過ぎには激戦の東京選挙区で当選を決めたさや氏(43)が「白」のジャケットにオレンジのTシャツ、黒のパンツ姿で現れた。ステージに上がると、オレンジ色の包装紙にくるまれた花束を贈呈された。
開票終了と同時に当選確実の報道があったことについて、さや氏は会見で、「東京選挙区は著名人の方もたくさん出馬し、32人の候補者がおりました。その中でまさか自分自身がこういう形で当確をいただけるということは奇跡的なことだと思っております」などと述べた。選挙期間中の6日夕方、さや氏の事務局宛てに「参政党候補者さやを誘拐して包丁で刺し殺す」などと脅迫するメールが届いたこともあった。「一番、私にとって残念だったことは、現場に来てくれた方たちと直接、触れ合える機会を奪われてしまったこと。こういった行為は民主主義の国家で、候補者としてもたいへん恐怖を感じましたし、言論封殺にもなりますので、止めてもらいたいな、と心から思いました」
「日本人ファースト」を掲げる参政党は、選挙中、排外主義との批判を浴びた。参政党をめぐっては、選挙期間中に神谷代表が「高齢の女性は子どもが産めない」「(公務員を対象に)極端な思想の人たちは辞めてもらわないといけない。これを洗い出すのがスパイ防止法です」「宮城県は水道を民営化し外資に売った」などと発言。さや氏もインターネット番組で、「核武装が最も安上がりであり、最も安全を強化する策の一つだ」と述べるなど、その言動は物議を醸していた。
(上田耕司)
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