槇野「基本的には効果があると考えていいです。食事の最後に炭水化物を食べる『カーボラスト』は、血糖値の上昇が緩やかになるという研究結果が得られています。野菜も、先に食べると理論的には食物繊維によって糖質の吸収が穏やかになるので、より効果的になると考えられます。また、繊維の多い野菜をよく噛むことで満腹中枢が刺激されて、食事の総量が減る可能性もあります」
野菜ジュースには「意味なし」
――続けた方がいいのですね。
槇野「ただし、効果が期待できるやり方と効果の低いやり方があります。糖質が少なく食物繊維が多い葉物類、キノコ、海藻を先に食べることはお勧めできますが、野菜の中では糖質が多いジャガイモなどのイモ類やカボチャ。トマトでも果物と同じくらい糖度の高いものだと、効果が低くなってしまいます」
――野菜ジュースでもいい?
槇野「野菜ジュースでは意味がありません。おいしくするために糖度の高い甘い野菜を使ったり、果物が入っていることもあります。噛まないため、満腹中枢への刺激も小さいです」
劇的な効果はなく、免罪符にはならない
――ベジファーストの「効果」については、どの程度と捉えたらいいですか。
槇野「劇的な効果ではないことは知っておいてください。いわゆる『大食い』でカロリー過多の人や糖質過多の人が、同じ食生活を続けていい『免罪符』になるものでは決してありません」
――ここ最近、油を先に摂取することにより血糖値の上昇が緩やかになる「オイルファースト」が、新たなおすすめの食習慣として雑誌などで取り上げられています。
槇野「油を使ったおかずを先に食べることで、血糖値の上昇を抑える可能性はあるのかもしれません。ただ、油はもっとも高カロリーの食品です。今の食事に油を加える形になると、カロリーの総量が増えてしまいますから、結果、太るだけの可能性があります。特に炭水化物も油も好きな人にとっては、たくさん食べていい『免罪符』のようになってしまうリスクがあると思います」
――われわれ消費者が、情報に踊らされ過ぎなのでしょうか。