
食事の際、野菜から先に食べると食後血糖値の上昇が緩やかになるとされる食事法「ベジタブル・ファースト」について、一部で「無意味だった」「その常識はもう古い」などの懐疑的な意見が飛び交っている。実際、続けることに意味はあるのか、ないのか。糖尿病の専門医に見解を聞いた。
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「血糖値の上昇が緩やかに」
「ベジタブル・ファースト」(以後ベジファースト)は食事の際、食物繊維を含む野菜から食べることで、血糖値の上昇が緩やかにするいたって簡単な食事法。急激な血糖値上昇を防ぎ、肥満や動脈硬化、糖尿病のリスク低減が期待できるとされ、健康志向の高まりとともに定着した。
厚生労働省も2020年版の「日本人の食事摂取基準」の中で、ベジファーストについて取り上げ、
《食後血糖の上昇を抑制し、HbAlc(ヘモグロビン・エー・ワン・シー。糖尿病の診断として使われる指標の1つ)を低下させ、体重も減少させることができることが報告されている》、
と記していた。
ベジファーストに関する記述が消えた!
だが、界隈がざわつき始めたのは昨年末ごろ。その「日本人の食事摂取基準」の2025年版から、ベジファーストに関する記述が一切なくなることが発覚したことがきっかけだった。
国の“お墨付き”が突然なくなったという印象を与えたようだ。
厚労省の担当者は、「『日本人の食事摂取基準』は、必要な栄養素やエネルギーの基準を示すことが目的で、本来の趣旨と合わないため記載をやめました。そもそも『そうした報告があります』ということを紹介はしましたが、推奨してはおりません」と、特別な意図はないことを冷静に説明する。
だが、「無意味だったから消した」「嘘だったのか」「もう古い」などと、ベジファーストの効果について懐疑的な声がネットで飛び交うようになった。
専門家に話を聞くと…
実際はどうなのか。国立循環器病研究センター糖尿病・脂質代謝内科の槇野久士医長に話を聞いた。
――ベジファーストの効果は、実際どうなのですか?