ソフトバンクの周東(日刊スポーツ)
ソフトバンクの周東(日刊スポーツ)

米国でも話題になった走塁

 周東といえば、侍ジャパンのメンバーに選出されて出場した23年のWBCでの走塁の印象が強い。準決勝のメキシコ戦、1点差を追いかける9回無死一、二塁の好機で一塁走者の代走となり、村上宗隆のセンターオーバーの打球で一気に本塁に生還。サヨナラ勝利をもたらした走塁は、日本国内のみならず全米でも話題になった。

 盗塁王を3度獲得し、俊足のイメージが強いが、打撃もレベルアップしている。今年は規定打席に足りないながら、打率.294、1本塁打、23打点、22盗塁を記録。四球の数が増えて出塁率.366とリードオフマンとして稼働しているだけでなく、得点圏打率.357でポイントゲッターとしての活躍も光る。規定打席に到達したシーズンが昨年のみと故障の多さがネックだが、能力が高い選手であることは間違いない。

可能性を秘めた日本ハムの2人

 メジャーリーガーをマネジメントする代理人は、「今すぐメジャー挑戦の水準にはまだ達していませんが」と前置きした上で、別の打者の名前を挙げた。

「大きな可能性を秘めているのは、万波中正(日本ハム)と水谷瞬(同)です。万波はメジャーでも外野手として活躍できる素材です。あの強肩は大きな魅力でしょう。打撃も球を遠くへ飛ばすコツを知っているので、あとは確実性ですね。打てるゾーンがまだまだ狭い。緩急に脆さを見せているのでどう克服するか。その点をクリアすれば、メジャーの評価がさらに高まります。水谷の強みは150キロを超える直球に強いこと。速い球を力強く引っ張れる打者がなかなかいないので、価値があります。変化球への対応力も上がっていますし、成長速度が凄い。ただ、1軍での実績が少なく、まだまだ能力をフルに発揮しているとは言えません。足の速さを考えればもっと盗塁できるし、外野の守備力も磨かなければいけない。2人に共通して言えますが、打撃だけでなく守備や走塁技術をどんどん高めてほしい。メジャーではよほど本塁打を打たなければ、打撃に特化した選手は生き残れないですから」

 今年からドジャースに加入したキム・ヘソンは韓国球界で11本塁打がシーズン最多と長打力があるわけではないが、通算打率.304と広角に安打を放つ打撃技術に加えて俊足、内外野の複数のポジションを守れることが高く評価された。昨オフにポスティングシステムを利用した際には、ドジャースのほか、カブス、エンゼルス、マリナーズが獲得に動いている。

 本塁打を量産する強打者だけでは打線が成り立たない。チームの潤滑油になる選手が必要だ。実際に岡本は打力だけでなく、一塁と三塁の高い守備能力が評価されているという。今後、メジャーの評価が急騰する意外な打者が現れるかもしれない。

(ライター・今川秀悟)

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