
米国では日本人投手の評価が非常に高い。投打の二刀流で活躍している大谷翔平(ドジャース)、ダルビッシュ有(パドレス)、山本由伸(ドジャース)、今永昇太(カブス)、千賀滉大(メッツ)がチームの中心軸として活躍している影響が大きい。
侍ジャパンを取材するスポーツ紙記者は「メジャーの各球団のスカウトは日本の先発投手をくまなくチェックしています。特に人気を集めているのが今井達也(西武)、平良海馬(同)、伊藤大海(日本ハム)、東克樹(DeNA)ですね。球速は出るにこしたことはないけど、それほど重視していません。それより回転数の多さをチェックしています。150キロ高めの直球で空振りを奪えるか、絶対的な変化球を持っているか、狙ったところに投げられるコマンド能力が高いか。この3つの要素を大切にしていますね」と指摘する。
スピード、守備力のある選手の価値が上がった
一方で日本人野手はどうだろうか。村上宗隆(ヤクルト)が3年契約の切れる今オフにポスティングシステムでメジャー挑戦が有力視され、岡本和真(巨人)もメジャーでプレーすることに興味を抱いていることが報じられている。やはり、メジャーでは長打を打てる野手が評価されるのだろうか。
西海岸の球団スカウトはこう語る。
「間違ってはいませんが、本塁打を量産できなくても、スピードが速い選手、守備がうまい選手の市場価値があがっています。メジャーでは23年から制限時間以内に投球しなければいけないピッチロックが導入され、ベースが大きくなり、牽制の回数も制限されたことで盗塁数が一気に増えました。安打を打てば、足の速い選手は盗塁することで二塁打と同じような価値にできる。裏を返せば、中距離打者で安打を打つ能力が高くても、足が遅く、守備に難がある選手はあまり評価されません」
具体的に注目している選手については、意外な名前を挙げた。
「周東佑京(ソフトバンク)ですね。彼はメジャーでもかなりの盗塁数を稼げますよ。足が速いだけでなく、走塁技術が高い。打撃に物足りなさがありましたけど、近年は長打力がついて確実性も上がっている。故障で離脱した期間がありましたが、このまま試合に出続ければ規定打席に到達して首位打者も狙える。中堅の守備も肩が強く、球際に強い。個人的に評価が高い選手です」