AERA 2025年7月21日号より
AERA 2025年7月21日号より

アプリで出会えるけど

「今はマッチングアプリを使って、人には出会えるようになりました。だけど、相手の収入が少なかったら、結婚しないわけです」

 そう指摘するのは、長年、家族のあり方を研究してきた中央大学の山田昌弘教授(家族社会学)だ。

「今の学生に『40歳で、どういう生活をしたいか』を聞くと、ほとんどが『結婚して子どもがいる』と答えます。つまり『結婚したい人』は多数派です。でも現実的にそうなれるか尋ねると、『経済的に無理』と言うんです」

 若者が結婚しなくなったと言われて久しい。

 厚生労働省の人口動態調査によると、2024年の婚姻件数は48万5063組(概数)。前年の47万4741組から1万322組増加しているが、半世紀前と比べると半分以下だ。男女共同参画白書によると、30歳時点の未婚割合は、1980年は女性11.3%だったが、2020年は40.5%まで増え、男性は同31.1%から50.4%に増えた。

 山田教授は言う。

「バブル崩壊以降、就職氷河期となり、安定した仕事や給料が上がる仕事に就けない人が出てきました。働く女性は増えましたが、結婚生活を送って一緒に子どもを育てていけるような経済力を持つ男性がいなくなった。その構造的な問題は30年間変わっていません」

(編集部・井上有紀子)

AERA 2025年7月21日号より抜粋

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