リュウジ・著『孤独の台所』(朝日新聞出版)
リュウジ・著『孤独の台所』(朝日新聞出版)

引きこもり生活は1年間続き……

 だけど俺は、高校も行く気がないし、ましてや大学に行って学ぶなんて絶対に嫌だと突っぱねました。

 結局、最後はみんなが根負けして「じゃあもう働きなさい。働く先は自分で見つけなさい」と投げ出しました。

 こうして荒れに荒れた家族会議は終わったのです。

 そのころ、俺は行き場もなく引きこもって昼夜逆転生活をしていたので、働く先なんて見つけられるわけがありませんでした。

 引きこもり生活は、それから1年間続いていました。

 というのも、ひいおばあちゃんからパソコンをプレゼントしてもらい、自宅の高速インターネット環境も整った俺は、オンラインゲームにのめり込んでいたんです。

 当時どハマりしていたのが「ラグナロクオンライン」。中学時代に願っていたように、どっぷりゲームの世界に浸かっていました。

 オンラインにつなげば世界中に仲間がいるし、ゲームのなかの自分は、現実ではありえないほど人の役に立つ人間でいられる。

 仲間との協力が重要なゲームだから、普通の人は学校で学ぶような役割分担やチームプレーの大切さをたっぷりと学びました。

 もしこのままだったら、俺はずっと引きこもりで、ゲームをやりながら実家に住み続けていたかもしれない。

 だけど、そんな生活を一変させ、社会に出ていかざるを得なくなった大事件が起こります。

 自宅全焼です。

(リュウジ・著『孤独の台所』から一部を抜粋)

孤独の台所
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