
ゲーム好きで10代の時は引きこもりの日々を送っていた、料理研究家のリュウジさん。当時、何を考えて過ごしていたのか。そして、その引きこもり生活はどのようにして終わったのか。料理哲学を語った最新刊『孤独の台所』(朝日新聞出版)より、一部を抜粋してお届けします。
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俺は小学生のときからゲームが好きで、スーパーファミコンを買ってもらってからドラゴンクエストやファイナルファンタジーといったRPGで遊んでばかりいました。
何がきっかけというのは特にないんですが、ゲームの世界に行きたいとさえ思うようになって、中学はほぼ不登校です。
プレイステーションの衝撃がすごすぎたのかもしれません。スーファミからプレステに時代が変わって、「ゲーム機の進化ってすげー」と思っていました。
たまに登校することはあっても、何をするわけでもなく、すぐに帰ってあとは家でずーっとゲームです。
勉強を熱心にやっていたなんて記憶はありません。
「長い人生にはこんな時期もあるよ」と様子を見守ってくれた母親も、俺が入ったばかりの高校をやめたいと言ったときに、大ゲンカになりました。
モノレールと電車で40分もかけて登校して、毎日まったく合わない生活リズムを続けるのがバカらしくなったんです。たしか出席日数は4日だったかな。中学もほとんど行っていないのに、高校から頑張るというのはかなり無理があったんですね。
当時の俺に高校に行くメリットは何もなかったので、やめたいと口に出しました。
そこで大ゲンカからの、親族総出の説得が始まります。
当然、親としては高校を卒業してほしい。さらに進学して、大学まで行けるように働いているんだと言われました。
祖父母も、時々顔を見せにくる伯父も大学には行っていないから、だからこそリュウジには大学まで出てほしいと、みんな俺を説得するわけです。