
「ミッドライフ・クライシス(中年の危機)」と呼ばれる心の不調は、自分の過去の選択や未来に対する不安を抱きやすい40~60代に陥りやすいという。どんな人が要注意なのか。自身も48歳の時にミッドライフ・クライシスを経験した医師の鎌田實さんに聞いた。
【画像】2つ以上当てはまったら要注意!「ミッドライフ・クライシス」8つの兆候
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「ミッドライフ・クライシス」は、40~60代の80%が陥ると言われています。
直面しやすいのは、人生の「山頂」が見えた時で、会社員なら「自分は部長止まりか」と感じた時。子育てを終えた女性が、「これから何を夢中になってやればいいか分からない」という「空の巣症候群」と呼ばれる空虚感を覚えた際も、襲われることがあります。
この時期、男女ともに更年期に入り、それぞれ「テストステロン」「エストロゲン」というホルモンが減少します。これらは壁を越える原動力になるホルモンで、低下すると集中力が下がり、気分が落ち込みやすくなるのです。
苦境にある人ばかりではありません。順風満帆の人生を送っている人にも起こります。僕がそうでした。
48歳のとき、諏訪中央病院の院長として、累積赤字4億円の病院を立て直し、全国から若い医師が集まる病院に変えました。ある意味、人生の絶頂期でした。けれどその頃から、頻脈発作、冷や汗、不眠にも苦しみました。原因はハードワークでした。
3年ほど不調に苦しみましたが、その中で自分の人生を見つめ直すことになりました。僕は子どもの頃から本を読むのが大好きで、「いつか作家になりたい」という夢がありました。そこで、52歳の時に書いたのがベストセラーとなった『がんばらない』です。その後、56歳で病院長を辞めました。
妻は生活を心配しましたが、「やりたいことをやらずに死ぬなんて、絶対に後悔する」と思ったのです。不安より希望が勝ちました。今は本を書いたり、講演に呼ばれて話をしたり、夢が現実となった日々を送っています。
「ミッドライフ・クライシス」の原因とされる8つの要因を、チェックリスト形式で紹介します。