
リモートワークが浸透し、職場のコミュニケーションは変化した。雑談が減り、同僚がどんな人かわからない、との悩みも少なくない。会話を生み、職場が活性化する仕組みはどうすれば作れるのか。AERA 2025年4月7日号より。
【図表を見る】働きやすさが大きく変わった!企業別「ちょっとした仕掛け」はこちら
* * *
総務省の調査によると、転職を希望する人は年々増加傾向にある。23年には、過去最高の1035万人を突破した。人材の流動性が高まり、組織には多様なバックグラウンドを持った人材が集まるようになった。そこには組織の硬直を防ぎ、新たな価値観を生み出すといった利点もある。だが、共通言語やコミュニケーション不足に悩むことも多い。
その課題と向き合った企業の一つが、20年10月に新設されたソニーワイヤレスコミュニケーションズ(SWC)だ。
8割の「不安」を解消
もともとはソニーグループからの出向者で構成されていた同社だが、21年に採用活動を本格化。今では約80人のうち、新規採用されたメンバーが7割を占める。「ソニー愛」を持つ人が集まる集団だったが、同年末に実施したアンケートで課題が見えた。
「8割の人が社内コミュニケーションに不満や不安を抱えていると答えたんです」
そう振り返るのは、同社の五島奈央さん。人事担当者としてはめまいがしそうな結果かと思いきや、五島さん自身も「そりゃそうだよね」と納得できる面があったという。
「コロナ禍だったこともあり、対面しないままオンラインでの会議が続きました。雑談が生まれにくいし、画面越しではちょっとした発言がけんか腰に聞こえてしまったりもする。ウェブ上でしか接点がないまま、『この人って怖いんだ』という印象を持ってしまうこともあり、それぞれの違いを理解してもらう必要があると考えました」