昨日、投開票が行われた参院選。選挙権年齢が20歳以上から18歳以上に引き下げられました。
18、19歳の有権者は約240万人で、これは全有権者の2%なのだそうですね。
折しも、7月11日は「世界人口デー」。人口問題への意識を高めようと、1989年に制定されました。
日本で「人口」と聞いて連想しがちなのは、少子化や高齢化、人口減少の可能性。
しかし、世界的にみれば「人口増」に関して、さまざまな議論が行われています。
食糧増産、教育、移民・難民の問題など、世界の人口にまつわる課題をひも解きます。

さまざまな問題が、密接に関連し合う「人口問題」
さまざまな問題が、密接に関連し合う「人口問題」
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世界の「人口問題」、その歴史的な経緯とは

そもそも、地球の人口が増えるきっかけとなったのは「農耕」。
食料を貯蔵できるようになり、さらに農業のための労働力が必要になったことから、人間の数は次第に増加していったのです。
人口が劇的に増える契機となったのが、18世紀の「産業革命」です。
大量生産の時代が到来し、また生活に余裕ができたことから、人類の数は急激に増加しました。
さらに時代が下ると、上下水道などの整備が進み、人びとの「衛生」や「栄養」に対する意識も向上。
人類はそれまでの「多産多死」から、「多産少死」の時代を迎えます。
「多産少死」への転換は、はじめはいわゆる先進国で起こり、その後は開発途上国で進展していきます。
そのため、地球の人口はまだまだ増えると予測されているのです。

増え続ける人口をどう支える? 未来を担う若者をどう育てる?

「人類の繁栄」という考え方からすれば、人口が増えるのは良いことに思えます。
ただし、それだけの人数が必要とする「食料」を生産できるのか?
「住む場所」や「エネルギー」を確保できるのか?
大気汚染など、「環境」に与える影響は?
などなど、地球が支えることができる人口の「限界」についても議論されています。
日本では「高齢化」が憂慮される一方で、地球全体でみると今後、大勢の若者が成長し、社会の中核を担うことになります。
温暖化や気候変動など、地球上には問題が山積しています。
そんな中、彼らの意思決定が、これからの地球の運命を左右します(もちろん日本の若者も、その一翼を担います)。
人間が、自ら意図した人生を送るためには、正しい知識や情報を集め、それをもとに判断する能力が必要です。
「貧困をなくす」「女児・女性の権利を向上させる」「すべての若者に、教育を受ける権利を保障する」……
これらも、人口問題を考える上で重要なテーマとなるのです。

子ども・若者の権利を保障することが、地球の未来につながる
子ども・若者の権利を保障することが、地球の未来につながる

移民や出稼ぎ、留学……グローバル化と「人口移動」

もともと古代から、人類は食べ物を求めて、また交易や戦争などのために移動していました。
また古代から近代に至るまで、奴隷や安価な労働力として強制的に移住させられることによる「人口移動」の問題がありました。
移動手段や通信手段が発達した現代社会では、人々が移動する機会が劇的に増えています。
より豊かな地域への「移民」や「出稼ぎ」、新たなスキルや仕事、人脈を得るための「留学」や「移住」などなど……。
もともと住んでいた地域で迫害を受け、安全な地域に逃れる「難民」と呼ばれる人びとも、数多く存在しています。
国家間の戦争や内戦、テロ、民族、宗教や文化、言語……これらも、人口動向に影響を与えるファクターだと言えるでしょう。
この他にも、人口問題には数多くの切り口があり、色々な角度から考えることができます。
まもなく夏休み、世界の人口について調べたり、話し合ってみるのもおすすめです!
参考:鬼頭宏監修「世界と日本の人口問題 地球の人口を考える」(文研出版)

移民、留学、戦災……多様な理由で「移動」する人びと
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