神田愛花さん(撮影/写真映像部・東川哲也)

 自分なりに分析できたことで、40歳を前にようやく怒りから解放されました。今でも、自分にないものを持っている方たちをうらやましく思うことはありますが、みんなすごいなーと受け入れられるようになりました。以前のように、自分が嫉妬している人がテレビに出ているとチャンネルを変える……みたいなことはないです(笑)。

「ズレてる」なんて言われたことなかった

――神田さんはよく、物の見方が独特と評されますが、ご自身でもその認識はありますか?

 ズレてるって、よく言われるんですよね。この前、(MCを務めるバラエティー番組)「ぽかぽか」のゲストに、はだしで海に入るのが苦手だっていう女優さんがいらっしゃったんですけど、私はすぐにピンときたんです。というのも、グアムに行ったときにビーチにウミウシがいっぱいいて、踏むのが気持ち悪かったことを思い出しまして。それで、「グアムでウミウシがいるビーチに行きました?」って聞いたら、「そんな限定的な理由のわけないじゃん!」って周りからツッコまれてしまって、なるほどそうかと。

 でも社会人になるまでは、ズレてるなんて言われたことないんですよ? 理由を分析してみた結果、中学高校は私立だったので、同じ校風にひかれる親御さんに育てられ、同じ先生に教育を受けるうちに、似たような感覚の子たちの集まりになっていたのかなと。大学は理学部数学科で、これも文系の方から見ると変わった集団だったのかもしれません。

 今でも、バラエティーに出たときに自分の思考が面白がられると、なんで通じないんだろうっていう悲しみが先に来ます。もちろん話が盛り上がってありがたいんですけど、言いたいことを言いきる前に、尺の都合で打ち切られてCMに入っちゃったり。だからこそ、思いの丈を自由に伝えられるエッセーは、書いていてすごく気持ちがよかったです(笑)。

(聞き手・構成/AERA dot.編集部・大谷百合絵)

【後編】<元NHKアナ「神田愛花」がブレーク後に仕事を減らしたワケ 「安らぎである家庭がイライラする場所になってしまった」>に続く

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大谷百合絵

大谷百合絵

1995年、東京都生まれ。国際基督教大学教養学部卒業。朝日新聞水戸総局で記者のキャリアをスタートした後、「週刊朝日」や「AERA dot.」編集部へ。“雑食系”記者として、身のまわりの「なぜ?」を追いかける。AERA dot.ポッドキャストのMC担当。

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