――バラエティー番組で活躍する現在の姿は想像していましたか?
いえ、まったく(笑)。NHK時代は、最終的には会長になりたいと思っていたくらいNHKを愛していたので、やめてからも「元NHKアナウンサー」という肩書が自分の一番の売りだと考えていましたし、プライドでもありました。ですから、タレントのお仕事なんてできないし、するべきでもないと思っていたんです。
でも、それは勘違いでした。NHKではいろいろなお仕事をやらせてもらっていたほうでしたが、いざ外に出たら、スタッフさんも視聴者さんも私のことなんて知らない人ばかり。毎週ゲストが入れ替わるバラエティー番組のオファーはあっても、レギュラーメンバーで回す報道のお仕事なんて来るはずがないですよね。
だから、まずはいただいたお仕事は全部引き受けて、一つひとつ丁寧に取り組もう。そうやって現場のみなさんの信頼を得て、名前を知ってもらうことを積み重ねていかなきゃと思いました。
NHKっぽく演じていた過去
――バラエティーの仕事を始めて、壁にぶつかったことは?
最初は、お仕事が全然つながりませんでした。NHKっぽさが自分の役割だと思っていたので、すごく丁寧にしゃべるようにしていたし、「イェイ!」とか「フゥー!」とか言うこともなく。ちゃんと座って、クイズもちゃんと答えて。
そんななか、私が真面目に考えたクイズの解答が周りのみなさんからすると変な答えだった、ということがたまにあって、そこがよく放送で使われることに気づくんですよ。NHKっぽく演じるよりも、本当に自分が思ったことを言うほうが、元NHKという肩書とのギャップのせいか、面白がっていただけるみたいでした。
でもそれは、共演者のみなさんが私をイジってくださり、あたかも面白い人間であるかのように仕立ててくださるからです。本来、私にバラエティーの仕事は向いていないので、今も苦手意識はありますし、もがいています。