虫や小動物を捕えて消化吸収する不思議な生き物、その名も食虫植物。
近づいてきた獲物をパクッと一瞬で食べてしまう衝撃的な捕食シーンや、毒々しくもどこか美しいその見た目に、うっとり魅了されてしまう人が続出しています。
実際に、ホームセンターやスーパーで気軽に買えることから、若い層を中心にじわじわと人気を博しているのです。
今回ご紹介するのはそんな食虫植物の意外と知られていない奇妙な生態。
いったい食虫植物とはどのような生き物なのでしょうか。
じつは食虫植物は虫を食べなくても大丈夫!
虫を食べるイメージが強い食虫植物ですが、ほかの植物と同じように水が主な栄養分なので虫を食べないままでいると必ず枯れるというわけではありません。
もともと養分が少ない劣悪な環境の土地で生育されているため、その足りない分の栄養を虫で補っている、いわば虫はサプリメント的(!? )な役割でしかないのです。
そんな食虫植物には、どんな種類があるの?
食虫植物は、予想以上に種類がいっぱいあります!
食虫植物を分類するにあたってこれといった定義がなく人によって異なるのも特徴です。
なかには虫だけでなくネズミや小型のサルまで食べてしまうという珍しい品種もみ!
ここでは虫の捕え型に分けて、有名な食虫植物の種類をご紹介しましょう。
●大きな口でパクッと型
大きく口が開いているようなかたちの2片の葉がある。獲物がきたところで瞬時にその葉をパクッと閉じ、捕獲します。代表的な種類はハエトリソウです。
●落とし穴ボットン型
袋状になっている部分に水が溜まっており、そこに虫が落ちて溺れさせる種類。袋のなかで獲物をじわじわ消化する酵素を分泌し(一部は細菌によって消化するものも)、その消化した栄養分を自らの栄養として吸収します。ウツボカズラが有名です。
●ネバネバ粘着型
ベタベタとした葉の表面に虫がとまることで、くっついて離れなくなる種類。有名なところだと、モウセンゴケやムシトリスミレなどがあります。
このほかにも迷路のような細い管状の葉で獲物を誘い込む種類や、スポイトのように虫を吸い込む種類も!
見た目はどれも様々。変わったかたちのものからスタンダードな花のかたちまで実に多種多様です。
じつは私たちが日常的に食べているあの野菜も……!
あまり見慣れず、好きな人や興味がある人以外は私たちの生活とは程遠い存在と思いがちな食虫植物ですが、じつはトマトやジャガイモも虫を補食し、栄養を吸収する食虫植物の一種だと唱える人もいるのです。
トマトやジャガイモは茎に生えているネバネバとした粘着性の毛で、虫を死ぬまで捕え、虫が死骸になったところで、根本に落とし、周辺の土壌の栄養素を高めます。
私たちの身近な存在の野菜が食虫植物だったとは意外な事実ですよね。
虫を食べている食虫植物のその姿は少し残酷で、グロテスクな部分もありますが、そこが食虫植物の醍醐味。
個性的なキュートな色、かたちの食虫植物を愛でてみてはいかがでしょう。