5月3日から5日までの3日間、有楽町・東京国際フォーラムを中心に【ラ・フォル・ジュルネTOKYO 2024】が開催された。毎年恒例のイベントとなっているのが【0歳からのコンサート】。今年の全体テーマ“ORIGINES(オリジン) ——すべてはここからはじまった”にちなみ、赤ちゃんから楽しめるコンサートは“ダンス”という共通テーマが掲げられ、初日の公演ではバーンスタインとマルケスの作品が披露された。

 ダンスは旧石器時代の壁画にも確認できる、まさに音楽の“オリジン”といえるものである。また、最初に子どもたちは音に合わせ手拍子をしたり体を揺らしたりすることで、音楽の楽しみ方を知っていく。人間が音楽を楽しむその起源にダンスがあるのだ。

 会場は開演前から楽しみがいっぱい。ホールに入ると「スターウォーズのメイン・テーマ」や「アンパンマンのマーチ」が聞こえてくる。舞台を見ると奏者が子どもたちに楽器の説明をしたり、実際の音を聞かせたりしているのだ。「もう少し前に出てみたら?」と保護者たちが提案するが、子どもたちは恥ずかしそうに、しかし、興味を持って楽器を見つめているのも印象的であった。

 演奏は兵庫芸術文化センター管弦楽団、指揮はクリスティアン・アルミンク。また今回の【0歳からのコンサート】は司会・中村萌子による楽曲の説明やダンス指南などもあった。冒頭「アルミンクさーん!」と会場の子どもたちが大声で呼ぶと、指揮者が登場し、「一緒に楽しみましょう」と一言。1曲目、バーンスタインの「『ウエストサイド・ストーリー』からシンフォニック・ダンス」は、2、3曲ずつ短く区切りながらの演奏。曲の前に踊りの練習をし、オーケストラの生演奏に合わせて踊り、大盛り上がり。特に賑やかな「マンボ」では、会場中の観客たちが手拍子や手を頭上でふりふりと振る踊りをするのが壮観だった。

 2曲目のマルケス「ダンソンNo. 2」はゆったりとしたテンポで、ムードのある音楽。オーケストラ音楽にもこんなにリズミカルでお洒落な作品があるのかと、子どもたちが音楽の多様さを知ることができる一曲ではないだろうか。人差し指をバッテンにしてクラベスの特徴的なリズムを真似る振り付けもあり主体的に音楽を楽しむ一工夫として面白かった。

 演奏中はじっと舞台を眺める子どももいれば、客席の通路で遊びながら聴く子ども、少しぐずってしまい保護者の方に抱っこされながら出入り口近くにいる子もいた。静かに聴いても、賑やかに楽器や音楽について話しながら聴いても良い。自由に音楽を楽しんだという思い出は、きっといつまでも残るだろう。成長した時に、あの時聴いた音楽としてこれらの作品を聴くのも感慨深いだろうし、クラシック音楽の扉を開けさまざまな作品を聴き始めるかもしれない。伸びやかな音楽体験ができる、【ラ・フォル・ジュルネ】の子ども向けコンサート、今後も長く続いて欲しい。
 
Text by 山下実紗 Photo by Shun Itaba

◎公演情報
【ラ・フォル・ジュルネ TOKYO 2024 ORIGINES(オリジン)——すべてはここからはじまった】
2024年5月3日(金・祝)、4日(土・祝)、5日(日・祝)
丸の内エリア(東京国際フォーラム、大手町・丸の内・有楽町、東京駅、京橋、銀座、八重洲、日比谷)
全90公演