<コーチェラ2024現地レポ>ラナ・デル・レイ、ビリー・アイリッシュらゲストと独特な世界観を大ステージで昇華
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 現地時間2024年4月12日~14日にかけて、米カリフォルニア州インディオにて野外音楽フェスティバル【コーチェラ・バレー・ミュージック&アート・フェスティバル2024】のウィークエンド1が、ヘッドライナーにラナ・デル・レイ、タイラー・ザ・クリエイター、ドージャ・キャットを迎えて開催された。

 ここでは、初日のヘッドライナーを務めた、ラナ・デル・レイのBillboard JAPAN特派員による現地レポートをお届けする。

 自身初となる【コーチェラ】のヘッドライナーを務めたラナ・デル・レイ。他のフェスティバルで予定開始時刻よりかなり遅刻して登場していたため心配だったが、この日は予定開始時間ちょうどにスタート。メイン・ステージの両脇のスクリーンにバイクの後ろに乗ったラナと【コーチェラ】の会場が映し出され、観客とステージの間を通るユニークな方法で登場した。

 花道の先のステージには6本の柱、バルコニー、階段があり、まるでお城のようなセットで演奏をするバンドが彼女を迎える。1曲目はダンサー6人に囲まれて階段に座って「ウィズアウト・ユー」を披露。彼女に向けられる歓声は、圧倒的に女性ファンのものが多い。2曲目ではモノクロの映像に合わせて無数のライトが光り、まるで星空のようなプロダクション、映像、照明がラナの世界観を表現していた。12名のダンサーとステージに横たわりながら上部から撮影された映像がスクリーンに映し出されると、そこに波が打ち寄せたり、ダンサーが反射板をラナに当てたり、砂漠にできた城に登場した女王が繰り広げる物語のようだ。過去の映像やクラシックなハリウッドのモノクロ・フィルムをつなぎ合わせた動画で視覚的に魅了しながら、ブランコに乗って歌ったりと彼女の代名詞であるハリウッド・グラマーを具現化していった。

 中盤では、「みんな、ありがとう。今日からちょうど10年前の曲です」と紹介した後、「バーテンダー」を披露。ジョン・バティステがゲストとして登場した「キャンディ・ネクレス」では、彼が演奏するピアノに座っていたラナが、突如ポールダンスを披露し、最後二人で掛け合うように歌った。

 続いて、前方にいる観客から悲鳴のような叫び声があがり、周囲からも「あり得ない!」という反応が。ステージのバルコニーを見ると、ラナがビリー・アイリッシュと登場。ビリーの【ハピアー・ザン・エヴァー・ツアー】ではメドレーで一部しか演奏されなかった「オーシャン・アイズ」をビリー、ラナの順でデュエット。そして、そのまま二人でラナのデビュー・シングル「ビデオ・ゲームス」を続けて披露した。ラナから歌い始め、「Singin' in the old bars」からの部分をビリーが歌い出すと観客は大盛り上がり。次にジャック・アントノフを紹介し、「ホープ・イズ・ア・デンジャラス・シング・フォー・ア・ウーマン・ライク・ミー・トゥ・ハヴ - バット・アイ・ハヴ・イット」では彼がピアノを演奏した。そして「ヤング・アンド・ビューティフル」で、90分のセットを終えると花火が打ち上げられ、花道にいるホーン隊が演奏する中、ラナは再びバイクの後ろに乗って退場した。

 前半では、自身の世界観を全面に打ち出し、後半は豪華なゲストを迎えた【コーチェラ】ならではのステージングだった。特にラナが「ビデオ・ゲームス」のアウトロで、ビリーについて「私たちの世代、皆さんの世代の声です。彼女が私の横にいて、私の好きな彼女の曲を歌ってくれるなんて、とても光栄です」と言った後、ビリーが「私を含めて、あんたたちの半数ぐらいが存在しているのは、彼女が理由だよ」と称え合ったのが一番印象的な瞬間だった。多くの女性アーティストに支持されている彼女の名曲の数々と徹底した美学を体感できる貴重なパフォーマンスだった。

※写真は2023年7月のライブから