秋の空は高い、と言いますが…秋分は、春分に0度だった太陽黄系が180度に達します。またこの両日は、太陽が真東から昇り真西に沈み、昼夜が等分になる日です。これから少しずつ日が短くなり晩秋へと向かいます。

曼珠沙華とうろこ雲
曼珠沙華とうろこ雲

秋もたけなわ「中秋(ちゅうしゅう)」

立秋・処暑・白露を経て、ついに秋分を迎えました。秋分は文字通り「秋を分ける」頃をさします。
秋は、初秋・中秋・晩秋と「三秋」に分けられ、秋分は「中秋」のさらに真ん中にあたります。
秋のクライマックスということですね。爽やかな風が吹き、陽射しが和らぎ、花や実がなり、お天気にも恵まれる季節です。
元来、この頃は農閑期でもあり、本格的な収穫を前にして一休みする時期でもありました。この束の間の休息期間にお墓参りや秋のお祭りが行われるようになったと言われています。

萩の由来

秋分の日は、秋彼岸(あきひがん)の中日にあたります。春の彼岸を単に「彼岸」と呼ぶのに対し、秋は「秋彼岸」と呼びます。(俳句歳時記より)
春秋の違いとと言えば「お萩と牡丹餅」も同じ。古くは、秋にとれたての小豆をつぶあんにして「お萩」、翌年の春に冬越しの小豆をこしあんにして「牡丹餅」が作られていたとか…。名前の由来は、それぞれに見ごろを迎えることから、春は「牡丹餅」、秋は「お萩」と呼ばれています。
一つ一つは小さな花ですが、草冠に「秋」と書くほど、古くは秋の代表の花だったことが覗えます。
また、この時期に見ごろとなる花に曼珠沙華(まんじゅしゃげ)があります。この花の名前の意味は「天に咲く赤い花」。根に持つ毒を抜いて、いざという時の非常食として保存していたそうです。

浄光明寺(鎌倉)の萩
浄光明寺(鎌倉)の萩

今も変わらぬ、神様への感謝

先に記したように、秋分の頃は農閑期であり、墓参やお祭りがおこなわれるようになりました。
秋祭り・収穫祭などのお祭りが、各地で催されるのは今も変わりません。
小さな神社のお祭りから、全国的に有名なお祭りまで、いろいろありますが、祭に込められた想いは同じ。今年の収穫、そして生きていることへの感謝です。
近年、色々な災害に見舞われることが増えました。だからこそ、今生きている私たちは、秋の実りと生きていることへの感謝を、強く胸に刻んでいたいものですね。

《参考文献》
俳句歳時記「秋」 角川学芸文庫
日本の七十二候を楽しむ 東邦出版