ふつう、マンゴーといえば南国のフルーツで、旬は春から夏にかけてですね。でも、北海道の弟子屈町(てしかがちょう)では、真冬の2月にマンゴーが旬を迎えていて、2月上旬から発売が開始されています。真冬にマンゴー、しかもまだまだ寒い北海道で旬を迎えているなんて、いったいこのマンゴーは、どのように育てられているのでしょうか?
この記事の写真をすべて見るその名も 「摩周湖の夕日」、道東の弟子屈町で生産
日本のマンゴーの産地といえば、沖縄県、宮崎県、鹿児島県の3県で95%が占められますが、この「極寒完熟マンゴー」はなんと、北海道の弟子屈町(てしかがちょう)で収穫されています。
弟子屈町は北海道の東側、釧路市から北に80kmに位置しています。透明度の高い摩周湖や、クッシーでおなじみの屈斜路湖(くっしゃろこ)がある町として有名です。また、摩周温泉や川湯温泉もあり、毎年全国から多くの観光客が訪れます。
ここで収穫されるマンゴーの名前は、その名も「摩周湖の夕日」。ほかの特産品には、「摩周メロン」もあります。
北海道の中でも冬の冷え込みが特に厳しいこの弟子屈町で、いったいどうやって真冬に、南国のフルーツ、マンゴーを収穫しているのでしょうか。
80℃の温泉水をビニールハウスに利用、燃料費の高騰にも強い
弟子屈町には摩周温泉、川湯温泉をはじめ、屈斜路湖の周りにもたくさんの温泉があります。この、温泉がたくさんあるという地の利を生かし、豊富な温泉水をビニールハウスの中の熱源として利用して、温度を管理しているのです。温泉水の温度は約80℃。ハウスの中にはセンサーが設置され、土の温度、ハウスの室温、湿度などを素早く把握できるので、常にハウス内の環境を一定に保つことができます。ほかの産地では燃料高の影響でハウスの暖房費がかかり、マンゴーの価格が上がっているところもありますが、温泉の熱を利用している弟子屈町では燃料費を上乗せすることがないので、比較的価格を抑えることができます。マンゴーの生育状況については宮崎県のベテランマンゴー農家に指導を受けています。
昼と夜の寒暖の差が甘さの秘密、ネットにポトリと落ちたら完熟のサイン !!
「摩周湖の夕日」はとても甘いマンゴーですが、この甘さの秘密はハウス内の温度管理にあります。昼間は温泉水の熱でハウスの中の温度を上げますが、夜は温泉を止めて温度を下げることによって、1日のうちに寒暖の差が繰り返され、これにより甘みを高めることができるのです。北海道で夏に育つ野菜は、昼と夜の気温の寒暖差でおいしくなると言われていますが、それをマンゴー栽培にも活用しているというわけです。
「摩周湖の夕日」の平均糖度はなんと20度!! 宮崎県のマンゴーでも糖度は12~16度なので、糖度20度がどのくらい甘いか、想像できると思います。
収穫は、マンゴーの実がネットにポトリと落ちたものから出荷します。実がネットに自然に落ちるということは、それが完熟のサインです。つまり、今まさに食べごろ!! というときに出荷されるのです。
今年からはじめて全国へ販売、卒業・入学や就職のお祝いに !!
「摩周湖の夕日」は2013年から出荷を開始していました。これまでは首都圏の百貨店や青果店、町内の観光施設などだけへ出荷されていましたが、糖度が高く、味も濃厚でおいしいと評判がよいので、今年からはじめて全国に広く販売することになりました。日本郵便のふるさと小包で取り扱っています(詳しくは弟子屈郵便局へ)。
2~3月は、卒業や入学、定年退職や就職など、お祝いごとが重なるシーズンです。春のはじめのこの時期、パッと明るい黄色のマンゴーは、贈り物に最適です。マンゴーの旬は5月ころからはじまりますが、一足早い完熟マンゴーが北国から贈られるなんて、ステキな話ですね。